台湾地震、復興の願いを音色に 福島青年管弦楽団が台北公演

 
本番に向け交流を深め、練習する出演者(関係者提供)

 東日本大震災後の支援への感謝と、台湾沖地震の被災地の一日も早い復興への願いを音色に―。音楽を通じて本県と海外の国際交流に取り組むNPO法人福島青年管弦楽団(福島市)は4日、初の台湾公演に臨んだ。5年ぶりとなる海外での晴れ舞台では、台北フィルハーモニー管弦楽団らとの共演も実現した。

 台北市の中山堂で開かれた公演では、団員約40人が練習を重ねてきたシュトラウスの喜歌劇「こうもり」序曲、メンデルスゾーンの「バイオリン協奏曲第1楽章」などを披露した。「落ち着いて普段通りの演奏ができた」と話すのは、福島青年管弦楽団代表理事の斎藤弘樹さん(51)。「会場は観客で埋まり満員御礼。無事に開催できて良かった」と胸をなで下ろした。

 現地と絆結ぶ

 公演を控え、2日に福島空港と台湾北部の桃園国際空港を結ぶ定期チャーター便を利用し現地入りしていた団員は3日、台北市のホテルに滞在中に地震に見舞われた。「建物内での揺れの体感は大きく、一時停電したが、団員にけがはなかった」。市内も目立った被害はないという。その後も予定通りの日程でリハーサルや現地楽団との交流などを重ね、本番を迎えた。

 楽団は2014年に本県の中学生を中心に結成した非常設オーケストラで、県内出身者や在住の中学生から社会人で構成されている。これまでに英国のロンドンや米ボストンなどで公演。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故後に、本県に寄せられた支援への感謝と若者の元気を演奏に乗せて伝えている。今回の公演も本県を支援してくれた台湾に恩返ししようと企画し、団員が2~5日の日程で台湾を訪れている。

 団員は台湾との絆を強め、国境を超えて心を一つにしたサウンドを現地の観客に届けた。(高橋由佳)

リハーサルの様子台湾でのリハーサルに臨んだ福島青年管弦楽団の団員ら。4日の本番でも息の合った演奏を響かせた(関係者提供)

 福島県が支援へ

 内堀雅雄知事は4日、台湾沖で3日に発生した地震を受け、台湾の復興支援に取り組む考えを示した。

 県庁で開いた県災害対策本部員会議で、東日本大震災後に台湾から復興支援を受けたことに触れ「思いを胸に刻み、政府やほかの自治体と連携して台湾の復興支援へ何ができるかしっかりと検討し、実行していきたい」と語った。