福島県、ごみの量ワースト1位 原因と解決策探る

 

 1人の県民が2022年度に出したごみの量は1日当たり1021グラムで、7年ぶりに全国最多となった。ワースト3位圏内は12年連続。地震や台風など相次ぐ自然災害が一因とされるが、取材を進めると本県は燃えるごみ全体に占める生ごみの割合が全国平均より高く、処理の有料化も進んでいない実態も見えてきた。真面目と評される県民性には不似合いの「ワースト」称号。返上の一手を探った。
(報道部・斉藤隼人)

 環境省の調査によると、本県のごみ排出量は10年度まで全国平均と同水準で推移し、東日本大震災以降は高止まりしている。全国が減少傾向にあるため、差はじりじりと拡大。22年度の全国平均は880グラムで、本県とは141グラムの差が開いた。

 震災で大量の片付けごみが出た上、19年の東日本台風や21、22年に発生した本県沖地震も県全体の排出量を押し上げたとみられる。被災状況が近い宮城県も、10年度以降は同様の推移を示していた。

 お裾分け原因?

 本県の特徴の一つ目は、生ごみの多さだ。ごみ全体の内訳は全国、本県とも生活系7割、事業系3割でほぼ同じ。しかし生ごみの割合を見ると全国が17・4%だったのに対し、本県は24・4%と差が際立っていた。

 県担当者は「推測」と前置きした上で「食べ切れない量の魚や野菜などをお裾分けする文化も関係しているのかもしれない」と語った。

 全国6割で実施

 本県の特徴の二つ目が、家庭から出る燃えるごみの処理を有料化している自治体が少ないことだ。

 環境省などによると、全国1739市区町村のうち21年度時点で有料化済みは66・1%(1150市区町村)。本県の有料化は26市町村で、当時全域避難していた双葉町を除く58市町村の44・8%にとどまった。

 有料化の効果はどうか。22年度で計算すると、無料の県内32市町村が平均1065グラムだったのに対し、有料の26市町村は820グラムと23%少なかった。全都道府県でトップの京都府(770グラム)にも迫る水準だ。

 ごみの有料化を巡っては、環境省が05年に改正した廃棄物減量の基本方針で、市町村に「一般廃棄物処理の有料化の推進を図るべきだ」と求めた経緯がある。金銭的な動機付けによりごみの抑制を強く促した形だが、広がりは限定的だった。

 排出量多い4市

 県人口の6割弱を占める福島、会津若松、郡山、いわきの4市はいずれも無料で、排出量は多い。福島市では23年2月に審議会が有料化の必要性を訴える意見書を提出したが、市は物価高騰などを理由に導入を見送った。ある自治体関係者は「仮に4市が有料化すれば全県の結果は間違いなく変わる」との見方を示す。

 生ごみの8割は水分とされ、乾燥させると燃えるごみ全体の約2割を減らせるという。資源化などに回る割合を示すリサイクル率も本県は低く、古紙や容器包装プラスチックの多くが「ごみ」になっている。一人一人が生ごみの水を切り、分別にもう一手間をかけるだけでも、ごみの少ない県に変わる可能性がある。