馬場桜、今年は咲かず 大玉・樹齢1000年超、国指定取り消し恐れ

 
樹齢1000年以上を誇る国指定天然記念物の馬場桜。今年は花が咲かなかった=15日

 大玉村玉井の樹齢1000年以上を誇る国指定天然記念物「馬場桜」の複数の根が枯れた状態となっていることが15日、大玉村教委などへの取材で分かった。昨年まで咲いていた桜も今年は咲かず、村は29日から樹木の詳細な調査を開始する。村教委によると、調査の結果次第だが国指定が取り消される可能性が高いという。

 村教委によると、一般的に桜は11月ごろまで枝に葉を付けているが、馬場桜は昨年6月ごろに全ての葉が落ちていた。その後、村は日本樹木医会の和田博幸副会長に相談。現地を視察した和田副会長が複数の根の枯死を確認し、樹木を枯れさせる菌とされる「ナラタケ菌」などの影響を指摘したという。

 このため村は29日から現地調査を始める。3カ月間、馬場桜の幹周辺にコナラの樹木計8本を埋設した後、掘り起こして県林業研究センターがコナラにナラタケ菌が繁殖していないかを調べる。検査結果は文化庁に報告される。

 村教委によると、馬場桜は、八幡太郎義家(源義家)が軍馬の練習場で手に持っていた桜のむちを土に差し、駒止めにした桜が根付いたとされている。村唯一の国指定天然記念物で、村内外から多くの見物客が訪れ、観光名所となっていた。

 一方、過去には干ばつで樹勢が衰退したり、腐朽した幹を切断したりした。2018年には暴風で根が引きちぎられるように倒れたため、支柱で幹を固定して復旧させるなどの対応が取られた。村教委のほか地元有志でつくる「馬場桜保存会」が環境整備に取り組み、歴史をつないできた。鈴木浩一会長(81)は「馬場桜は村の宝。大きく広がる桜の下で皆で花見をした思い出がある。桜に見守られながら成長してきたので、(枯れた状態というのは)寂しい」と惜しんだ。

馬場桜