竹をパウダー化...畑の肥料に 相馬の鉾建さん「厄介ものが宝」
放っておくと、あっという間に根を伸ばす竹。放置されたまま広がる竹林に頭を抱える所有者も少なくない。相馬市の鉾建(ほこたて)茂さん(74)は、改造した農機具で竹をパウダー化し、畑の肥料などに利用している。鉾建さんは「ちょっとした工夫で、厄介ものが宝になる」と話す。
鉾建さんが機械のエンジンをかけ、導入口に直径10センチほどの竹を差し込むと、固いものが粉砕される轟音が辺りに鳴り響いた。見る見るうちに竹は短くなり、パウダー状になってはき出されてきた。「1日作業を続ければ、100キロぐらいの竹を処理できる」と説明する。
鉾建さんが竹のパウダー化に取り組むようになったきっかけは、農機具を改造して竹粉砕機を作った千葉県のグループに関する記事を農業雑誌で見たことだった。「どこに行っても、里山が竹に浸食されて荒れている。何とかならないかと思っていたので、ぴんと来たんだ」と振り返る。早速、記事で取り上げられたグループを訪ね、教えを受けた。
鉾建さんが改造した機械は、古いハーベスター(脱穀機)。コンバインの導入に伴い、使われなくなった機材を農家から譲り受け、地元の鉄工所に改造を依頼した。回転軸にチップソー(丸鋸(まるのこ))を10枚重ねて取り付け、粉砕装置にした。粉々になったパウダーを受け止める容器として金属製の箱も溶接した。費用は20万円程度で、市販の竹粉砕機を購入するよりも、大幅に出費を抑えることができた。
パウダーにした竹は家庭菜園で活用するほか、10キロ2000円で販売。餌に混ぜてニワトリに与え、卵の品質改善につなげている養鶏家もいるという。
今では活動が知られ、竹林の伐採の依頼が増えたという鉾建さん。「竹で困っている人は多いはず。活用する動きが広がり、里山の保全につながってくれればうれしい」と思いを語った。(丹治隆宏)
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竹林 全国的に増加傾向で、本県でも増えている。林野庁が2022年度に実施した森林資源現況調査によると、本県の竹林は1377ヘクタールで、10年前よりも102ヘクタール(8%)増えた。竹の利活用に向けた林野庁の報告書によると、生活用品や造園・建築資材の原材料として伐採することなどで、竹林は維持、管理されてきたが、竹材の輸入増加、プラスチック製品の普及などにより次第に放置されるようになったという。
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