郡山市長に現職・品川萬里氏 新人2氏下し3選、投票率40.66%

 
3選を決め、万歳する品川氏(中央)と妻和子さん(右)ら=18日午後11時25分ごろ、郡山市長者の選挙事務所

 任期満了に伴う郡山市長選は18日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属で現職の品川萬里氏(76)が4万3944票を獲得、いずれも無所属で新人の元県議勅使河原正之氏(69)と元市議の川前光徳氏(54)に3000票以上の差をつけ3選を果たした。

 品川氏は新型コロナウイルスの感染症対策や東日本台風(台風19号)をはじめとする大規模自然災害への対応など2期8年の実績を強調、有権者の幅広い支持を集めた。投票率は40.66%で、過去最低だった前回を2.61ポイント上回った。

 品川氏の任期は27日から4年。当選証書付与式は20日午後2時から、郡山市役所で行われる。

 当日有権者数は26万5245人(男性12万8960人、女性13万6285人)。

 高い知名度、実績強調

 【戦いの跡】収束が見通せない新型コロナウイルス対策や相次ぐ自然災害への対応など前例のない課題を前に、有権者は市政継続を選択した。

 品川氏は豪雨対策や郡山駅前の再開発など2期8年の実績と国とのパイプの太さを強調、過去の市長選で強固にした後援会組織をフル稼働し安定した戦いを繰り広げた。「保守分裂」の構図から各党が候補者の推薦を見送る中、市議会第2会派「新政会」の支援を受け、JAや連合福島、保育関係団体の推薦を得るなど組織票を積み重ねた。

 勅使河原、川前両氏は昨年12月に立候補を正式表明した。自民党郡山総支部長を務めていた勅使河原氏と、市議会自民党系会派の会長だった川前氏を一本化する動きは告示直前の3月まで続いたが、結果的にまとまらず、現職への批判票が分散する形となった。

 新型コロナで選挙戦術の転換を強いられる中、各候補は会員制交流サイト(SNS)を活用するなどして浸透を図ったが、有権者の反応は鈍く、知名度で勝る現職に有利に働いた。品川氏は支持率の高いとされる70代以上だけでなく、幅広い世代に浸透した。

 地方の都市の例に漏れず進展する少子高齢化や空洞化する市街地の活性化も課題として浮かぶ。この状況を打破するため市民は市政の安定と継続に期待を示した。選挙戦で持続可能な開発目標(SDGs)の基本理念「誰一人取り残さない」を訴え続けた品川氏。取り組みの具現化と加速化が求められる。

◇郡山市長選開票結果(選管最終、敬称略)
当43,944 品川  萬里 76 無現 
 40,907 勅使河原正之 69 無新 
 21,850 川前  光徳 54 無新