聖光学院、坂本の先制弾が口火 名将の言葉、取り戻した闘争心

 
【学法石川―聖光学院】先制の3点本塁打など5打点を挙げた聖光学院の坂本=あいづ球場

 あいづ球場(会津若松市)で23日に行われた第73回春季東北地区高校野球県大会の最終日は、聖光学院が13―7で学法石川を下し、3年ぶり11度目の優勝を飾って幕を閉じた。3位決定戦は7―3で東日大昌平が磐城を退けた。

 クールな男が本塁でほえた。初回に先制の3点本塁打を放った坂本寅泰(ともやす)(3年)の雄たけびに呼応するように聖光学院打線が爆発。先発全員安打の17安打13得点で"春の王者"に返り咲いた。

 「キン」。試合開始早々に主砲のバットから快音が響いた。1回表無死二、三塁。打席の坂本の集中力は「ランナーを忘れるくらい」に研ぎ澄まされていた。

 1ボールから2球目、インコースの直球に反応した。「感触は良かった」と手応え十分の白球は、どんよりとした曇り空にアーチを架けて左翼席に飛び込んだ。三走皆川雅己(3年)と二走伊藤康生(3年)に本塁で迎えられると、拳を握りながら感情をあらわにした。

 前日の準決勝磐城戦。4安打にとどまり「湿り気味」と斎藤智也監督が嘆いた打線が一晩で見違えた。取り戻したのは闘争心。決勝前夜の選手ミーティングで、おとなしくなっている選手を自虐で和ませた。「俺ってそんなにおとなしくないよね」。チームに明るさが戻り「きょうにつながったと思う」とほほ笑んだ。

 昨秋の県大会2回戦敗退からはい上がってつかんだ栄冠。「冬のチームづくりは間違っていなかった」と坂本は安堵(あんど)するが、ここがゴールではないことも知っている。「夏まで約1カ月。熱いチームをつくり直したい」。その目は次なる頂を見つめていた。

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