みんゆう県民大賞、大八木弘明さん表彰式

 
みんゆう県民大賞を受賞し中川社長から盾を受ける大八木さん(右)=9日午後、福島市

 県内で大きな功績を残した個人・団体を顕彰する第33回みんゆう県民大賞(福島民友新聞社主催)のスポーツ賞を受賞した駒沢大陸上競技部総監督の大八木弘明さん(65)への表彰式が9日、福島市で行われた。大八木さんは「福島の皆さんに支えていただき、選手に恵まれて、強いチームをつくることができた。今度は駒大から世界を目指して、引き続きグラウンドに立って指導していく」と話した。

 大八木さんは会津若松市出身。会津工高を卒業後、実業団を経て駒大に進み、箱根駅伝では選手として区間賞を取るなど活躍した。1995年から母校・駒大の指導者を務め、チームを立て直して大学三大駅伝で27度の優勝を果たすなど常勝軍団を築いた。

 昨年度、史上5校目の大学駅伝3冠達成を花道に監督を退き、今年4月からは総監督に就任。10月の出雲全日本大学選抜駅伝、今月5日の全日本大学駅伝の優勝に貢献し、史上初となる2季連続の3冠に向けて王手をかけた。

 表彰式では、中川俊哉福島民友新聞社社長が正賞の盾と表彰状を贈った。

 第33回みんゆう県民大賞は大八木さんのほか、芸術文化賞を漫画家のややまひろしさん、ふるさと創生賞をサッカーワールドカップ(W杯)日本代表同行シェフの西芳照さんが受賞している。

 「挑戦させるのが指導者」

 県スポーツ協会は9日、福島市で指導者研修会を開き、第33回みんゆう県民大賞を受賞した駒沢大陸上競技部総監督の大八木弘明さんと、駒大の教え子で全国都道府県対抗男子駅伝で本県監督を務める安西秀幸さんが対談した。大八木さんは「情熱と本気度がないと選手は付いてこない。いろんな人との縁で今の私がいるように、人を導いて、幸せにしてあげられるかが指導者として大切だ」と指導の哲学を語った。

 県内のスポーツ指導者約80人が参加し、対談は「福島の指導者に伝えたいこと」をテーマに行われた。

 大八木さんは指導者として土台となった、会津工高陸上競技部顧問の故山田清さんとの思い出を紹介。高校では度重なるけがで目立った成績を残せなかったとし「それでも先生が自分の意思を酌んで実業団を探してくれた。おかげで私の陸上人生がつながった」と強調。「その恩義があるから、学生の就職口は自分が責任を持って全員決めている」と明かした。

 また駒大で主将を務め、2008年の箱根駅伝優勝に貢献した安西さんは「当時の監督は能力が高くない選手もよく見て、声がけをしていた」と回顧。大八木さんは「4年間陸上をして、やり切ることの大切さを分からなかったら、仕事に就いても続かない。だからどんな選手でも観察して、良いところを見て伝えて『やり切る心を身に付けろ』と言ってきた」と、その意図を説明する場面もあった。

 県内の指導者に対して大八木さんは「優しい指導者は手を差し伸べたくなるが、子どもに選択肢を与えて、責任を持たせて挑戦をさせないと伸びない」と話し、最後に「子どもの考える力を養うことも指導者の役目だ」とエールを送った。

 大八木さんは対談に先立ち、県庁に内堀雅雄知事を訪ね、昨年度の大学駅伝3冠を報告した。