福島県5小選挙区・立候補者『第一声』 17人の選挙戦始まる

 

 「しっかりと古里の復興を進めたい」「原発ゼロを実現する」―。10日に公示された第48回衆院選で、県内5小選挙区に立候補した17人は、選挙事務所前や市街地などで第一声を放ち、震災、原発事故からの復興加速化に向けた取り組み、政党の公約などを訴えた。各陣営の出陣式には大勢の支持者が集結、候補者の訴えに耳を傾けた。支持者の温かい拍手に送られ、候補者を乗せた車が12日間の舌戦の場へ出発した。

 ◆福島1区・金子恵美「復興をしっかり進める」

 福島市の事務所前で第一声。原発事故の避難指示が解除されても、いまだ多くの県民が避難するなど「復興は進んでおらず、新たな課題が出てきている。しっかりと古里の復興を進め、原発の全基廃炉を目指す」と強調。さらに子育て支援や教育、医療、福祉を受けられる機会を提供して生活を支えるとともに「平和憲法を守りたい」と誓った。

 ◆福島1区・亀岡偉民「福島にスポーツ施設を」

 福島市の中心市街地で第一声。「五輪を開催し、子どもたちの夢のため、風評払拭(ふっしょく)のために世界の人に来てもらう。五輪レガシーとして福島市に再生可能エネルギーの拠点を備えたスポーツアリーナを造りたい。五輪までの3年間が大事だ」と訴えた。「自立に向かう人を支え、中小企業が活躍できる環境をつくる」と復興への決意を述べた。

 ◆福島2区・根本匠「政策本位の政治を追求」

 郡山市の事務所前で第一声を放ち「福島の復興を自らの手で引っ張り、福島から日本を動かしたい」と決意を述べた。復興加速策を打ち出した復興相時の実績を強調、さらなる復興の加速や魅力ある農業づくり、全世代型の社会保障制度の構築へ注力する考えを示し「取り組みたいことがまだまだある。政策本位の政治を追求していく」とした。

 ◆福島2区・平善彦「平和で安心な社会実現」

 郡山市の事務所前で第一声を放ち、「戦争のない平和で安心な社会の実現に向けて国民のための政治を取り戻そう」と決意を示した。「強行に次ぐ強行の国会運営、憲法改悪、消費税増税で国民の生活が守れるのか」と安倍政権を強く批判。「福島の原発ゼロは県民の願い。再生可能エネルギーへの転換で地域の活性化につなげる」と強調した。

 ◆福島2区・岡部光規「医療の充実に取り組む」

 郡山市の事務所前で放った第一声で「命と暮らしを守るための時がきた。医療の現場で25年間、命と向き合ってきた」と医師としての実績を強調した。医療の充実や職場の労働環境改善に取り組むとし「未来に希望を持って生きていくことのできる政治に変えることが必要だ」と述べ、「先頭に立って課題解決に取り組んでいく」と訴えた。

 ◆福島2区・西村恵美「新しい産業根付かせる」

 郡山市の事務所前で第一声。復興バブルが減退期に入り景気が冷え込んでいるとし、「市場分析に携わった経験を生かして郡山に新しい産業を根付かせる」と決意を述べた。「子育てが楽しい社会、女性が楽しく生きられる社会をつくる」と訴え「原発ゼロを実現し、原発事故に苦しんだ福島からクリーンエネルギーへの転換を図る」と強調した。

 ◆福島3区・橋本健二「国の命運かかった選挙」

 「国の命運がかかった大事な選挙。私たちの生活、暮らし、家計を苦しめる自民党、安倍政治を終わらせるために全力を挙げて取り組まなければならない」と須賀川市の党須賀川市委員会事務所前で放った第一声で強調。「県民、市民の皆さんから寄せられた思い、願いを受け止めて国政に届けられるよう、国会にはい上がる」と決意を示した。

 ◆福島3区・上杉謙太郎「有権者の思いを届ける」

 須賀川市の事務所前で第一声。「新しい、素晴らしい、強い県南、県中をつくりたい」と強調。「2年10カ月の間、皆さんから聞いた話が今回の政策の基になっている。教育無償化や官民連携での子どもの学力の向上、病院や道路の整備などを進めていきたい」と決意を示した。「皆さんの思いを国に届け、政策を実現していく」と訴えた。

 ◆福島3区・玄葉光一郎「1強政治に終止符打つ」

 須賀川市の事務所前で第一声。「現政権には数によるおごりがあり、健全な政治に変えていきたい。1強政治に終止符を打つための戦い」と声を張り上げた。暮らしの安心の基盤づくりを重要施策に掲げ「全世代型の社会保障が必要。教育や子育てを充実させる」と強調。「国政は大都会から地方に軸足を移さなければならない」と力を込めた。

 ◆福島4区・渡辺敏雄「憲法守り平和な日本を」

 会津若松市の事務所近くで第一声。「憲法を守り、戦争のない平和な日本を築く。国民が健康で文化的な生活を送ることができる政治を実現する」と述べた。「大企業優先の政策や原発問題など課題は山積み。責任追及を逃れるための解散だ」と安倍政権を批判し、農業の後継者不足や子どもの貧困問題の解決などに取り組む意欲を示した。

 ◆福島4区・小熊慎司「再生エネルギー活用へ」

 会津若松市の事務所前で第一声。「国民不在の政治が続いている」と安倍政権を批判し、「われわれの生き方が問われる重要な選挙だ」と二大政党制の実現に意欲を見せた。その上で「福島の心を忘れて原発を推進するのではなく、再生可能エネルギーの活用を進めていきたい」と述べ、「日本の政治を変えるために責任を果たす」と覚悟を示した。

 ◆福島4区・古川芳憲「主権者へ政治取り戻す」

 会津若松市の事務所前で第一声を放ち、「原発再稼働や沖縄の新基地建設、憲法9条改定を進める安倍政権を止める必要がある」と主張した。経済政策について「消費増税8%で国民の暮らしは苦しくなった」と述べた。「北朝鮮問題を解決するためには平和憲法を持つ日本政府が主導すべきだ」とし、「政治を主権者の手に取り戻す」と語った。

 ◆福島4区・菅家一郎「ぶれずに未来を訴える」

 会津若松市の事務所前で第一声。「故郷のために役立ちたいと全力で活動してきた。(役目を)不透明な新政党に任せられない」と政権与党の一員の必要性を強調。「ならぬことはならぬ」と会津人の精神を掲げ、「一筋でぶれずに国会で未来創造を訴えたい」と意気込み、「若い人が夢と希望を持てる会津と西郷村をつくる」と目標を定めた。

 ◆福島5区・吉野正芳「震災前より素晴らしく」

 「復興は私の天命。古里福島を震災前よりも素晴らしい土地にする覚悟で取り組む」といわき市の事務所前で第一声。福島イノベーション・コースト構想を基にしたロボット開発による廃炉推進を掲げ、「少子高齢化で働き手が少なくなる10年後はロボット産業や新エネルギー産業が国の稼ぎ頭となる。浜通りを日本一の拠点にする」と誓った。

 ◆福島5区・吉田泉「希望の党が声に応える」

 いわき市のJRいわき駅前で第一声。自公連立政権が続く中で「隠蔽(いんぺい)や癒着、しがらみといった時代に合わない体質が色濃い。復興副大臣が不祥事で辞めたが、適切な人材を福島の復興のため送り込んでいるのか」と批判。政権交代に向け「安倍政治を続けるのか。希望の党は『期待の党』になり、皆さんの声に応えていく」と支持を求めた。

 ◆福島5区・熊谷智「被災地の声を届けたい」

 いわき市の事務所前で第一声を放ち、「争点は安倍政権を退陣に追い込めるかどうかの1点にある」と強調、「比例の得票数を大きく伸ばし、何としても議席を獲得する。被災地の声を国会に届けたい」と呼び掛けた。さらに「二つの原発を抱える福島5区から日本共産党の候補者が国会に行くという厳しい審判を安倍政権に下す」と述べた。

 ◆福島5区・遠藤陽子「原発事故の責任は国に」

 いわき市の事務所前で第一声。「国策で進めた原発で起きた事故の責任は国にある。原発の廃炉は進まず、原発事故から状況はよくなっていない」と安倍政権の対応を批判。格差社会で貧困が生まれているとし「年金生活者や低賃金の若者は生活できず、政治が貧困に導いている。貧困に歯止めをかけるため生活が大事だと訴えていく」と述べた。