「速攻」「大胆」復活 いわきFC、新体制で初白星

 
6試合ぶりの勝利を挙げ、スタンドのサポーターと喜びを分かち合ういわきイレブン

 オレンジ一色のアウェースタジアムに、いわきの白星を後押しする声援がこだました。24日のサッカーJ2いわきFC―大宮アルディージャ戦。これまでの停滞ムードを一気に吹き飛ばすように、5点を奪ったいわきイレブンの笑顔がはじけた。「いわきらしさを貫いて、後半戦は必ず巻き返す」。新体制下の初勝利で今季後半戦最高の船出となり、イレブンは後半戦に向けて闘志をみなぎらせた。

 田村監督「後半戦で10勝」

 「J2でプレーする喜び、勝つ楽しさをかみしめてほしい」。監督就任後、2戦目を迎えた田村雄三監督は選手たちに声をかけて送り出した。

 監督交代で目指すのはJ3降格圏(下位2位以内)からの早期脱出だ。チームの命運が懸かる後半戦で良い再スタートを切るためにも負ければ最下位に転落する大宮との直接対決を落とすわけにはいかなかった。

 「スピーディーでダイナミックなサッカー」を求めた指揮官の期待に、イレブンはプレーできっちり応えた。果敢にプレスをかけてボールを奪い、相手ゴールに迫る―。しばらく鳴りを潜めていた、いわきの持ち味が息を吹き返した。

 前半7分、FW有田稜のクロスにFW吉沢柊がゴール前で合わせて先制するとその後も攻めの勢いを絶やすことなく、前半だけで3得点。「いわきらしさ」を存分に発揮し、今季最多の5得点をマークした。

 ゴールラッシュの口火を切った吉沢は「チャレンジする姿勢を見せられた。監督が背中を押してくれ、自分たちのサッカーができて楽しかった」と笑顔で手応えを語った。Jリーグ初勝利をプレゼントされた田村監督も「選手から勇気をもらった。感謝している」と表情をほころばせた。

 7月中旬にかけて栃木、水戸、山口と下位クラブとの対戦を控えており、負けられない試合が続く。チームは後半戦を「10勝しないと話にならない」(田村監督)との認識を共有して一戦一戦に挑む覚悟だ。田村監督はチームを支えてくれる人たちへの強い思いを口にした。「今後は見ている人が楽しいと思えるフットボールをする」(小磯佑輔)

 サポーター「らしさ見られた」

 大切な一戦を迎えたイレブンを応援しようと、多くのいわきサポーターが来場し、アウェー応援席が赤く染まった。東京都の会社員小山武さん(45)は「田村監督には『おめでとう』と伝えたい。村主(すぐり)博正前監督の今までの指導があったからこそだとも思う」と勝利を喜んだ。いわき市の本多滋さん(68)は「いわきらしさが見られて良かった。今日のような試合を続け、盛り返してほしい」と期待した。