宇宙カプセル着水実験 南相馬で東北大ベンチャー、海上回収想定

 
(写真上)実験で落下させたカプセルを回収する作業員、(写真下)小型人工衛星の模型。上部がカプセル

 東北大発の宇宙ベンチャー、Elevation Space(エレベーションスペース、仙台市)は24日、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで、宇宙空間における製品などの実験サービスの提供に向け、実験を終えた製品などを海上で回収することを想定したカプセルの着水実験を行った。同社は実験で得られたデータを分析し、2027年の本格的なサービス提供開始を目標にする。

 同社は、宇宙空間で使用する部品や計測機器などを無人の小型人工衛星のカプセルに搭載し、耐久性や影響などを半年間ほど調べた後、カプセルを海上で回収するサービスの提供を目指している。26年には初号機を打ち上げ、ミドリムシの培養に取り組む予定だ。

 実験では、幅50センチ、重さ15キロほどの円すい台の金属でできたカプセルを5メートルの高さから、海を想定したプールに落下させた。今後、カプセルが受けた衝撃や水中での動きなどを詳しく調べ、実用化に向けた作業を進める。

 年内には、本県沖でヘリによるより高い高度からパラシュートを使った本格的な着水実験も行う計画だ。藤田和央技術総責任者(57)は「大がかりな試験だったが、大きな問題がなくほっとした。今後も試験を重ね、技術力を高めていきたい」と話した。

 同社は21年に設立、昨年には事業の推進に向けて南相馬市と連携協定を結んだ。