茶室・偕楽亭を「残したい」 福島の市民団体、継承の意義発信

 
(写真上)来年1月の閉館後に解体が予定される茶室「偕楽亭」(写真下)偕楽亭の歴史や志賀さんの功績を紹介した見学会

 来年1月の閉館に伴い、解体予定の福島市市民会館を巡り、茶道愛好家らでつくる市民団体が同館の茶室「偕楽亭」を解体後も存続させようと活動している。「福島の歴史と和文化を継承する場を何とか守りたい」と見学会や茶会を催し、歴史や後世に残す意義などを発信している。

 偕楽亭は、明治末期から同市杉妻町の紅葉山公園にあった料亭「偕楽亭」から名付けられた。当時料亭を切り盛りしていた故志賀まささんの「市民のために使ってほしい」との遺言に基づき土地と建物が福島市に寄贈され、市民の憩いの場として開放された。その後、県が土地を公園化することになり、市が現在の場所に新たに設けた茶室に偕楽亭の名を引き継いだ。

 「志賀さんの思いを継承し、何とかして偕楽亭を保存できないか」。閉館に伴い解体されることを知った市内の茶道愛好家らが集まり、今年に入り「WABUNKAふくしま」が結成された。4月20日に開かれた茶室の見学会では、市民らに偕楽亭の歴史や志賀さんの功績を紹介。茶を振る舞いながら存続を考える場をつくった。

 現在の偕楽亭は木造平屋の延べ床面積は約50平方メートル。にじり口が付いた茶室のほか待合室、水屋などが設けられている。庭園には志賀さんをたたえる報徳碑が設置され、料亭時代からの柱も保存されている。

 移築の可能性を探るため、福島学院大の学生らによる茶室の実測やCGデータ化も予定されているという。

 赤塚礼子代表は「そのまま移築するのは難しいかもしれないが、このままだと跡形もなく消えてしまう。何か形に残る方法を考えたい」と語った。