大型連休始まる 県内観光地「追い風」期待、訪日客の伸び好調

 
インバウンドが好調な大内宿。大型連休には日本人観光客増が期待される

 新型コロナウイルスの5類移行後初めてとなる大型連休が27日に始まる。30日~5月2日に休みを取得すれば10連休となるため、旅行や観光需要の高まりが見込まれており、県内の関係者は観光の回復に手応えを感じている。

 かやぶき屋根の歴史的な街並みが残り、本県を代表する観光地として知られる下郷町の大内宿。東南アジアを筆頭に世界各地から観光客が訪れ、インバウンド(訪日客)の伸びは好調だ。

 福島空港へのチャーター便の運航が追い風になり、特に台湾やベトナムからの観光客が増えている。大内宿観光協会の湯田盛雄会長(66)は「国内と国外の観光客数の割合は半々ぐらい」と話す。大型連休の日の並びは日本特有のため「国内観光客の来訪を望みたい。大内宿から周辺の観光地にも足を運んでもらえれば」と波及効果を期待した。

 「誘客に必要なコンテンツ(中身)が整った。入り込みが拡大するのでは」。いわき市観光振興課の担当者は展望する。昨年の大型連休中の入り込み客は26万6577人で、前年より3万人増えた。市によると、スパリゾートハワイアンズやアクアマリンふくしま、いわき・ら・ら・ミュウへの来館が目立ったという。

 昨年度、市内最多の約140万人が訪れたいわき・ら・ら・ミュウは新型コロナ禍でテナント数が31から24に減ったが、30まで戻った。旅行会社のニーズを踏まえ、団体客を受け入れられる飲食店も出店した。運営する市観光物産センターの本田和弘専務(63)は「新型コロナ禍の行動制限でずっと我慢してきたリタイア層が動き出す」とみて、大型連休中の売り上げ増を予想、受け入れ準備を進めている。

 石川町の八幡屋は大型連休中の宿泊客数について、新型コロナ禍前の19年の約8割を見込んでいる。渡辺武嗣社長(44)は「だいぶ客足が回復してきた。さらに観光の機運が高まり、客足が伸びてくれればありがたい」と語る。

 一方、物価高に伴う固定費の上昇を課題と捉える。渡辺社長は「燃料費や人件費などが上がる中、状況を見ながら値上げも考える必要がある。ただ料金を上げるだけでなく、新たなニーズを掘り起こし、お客さまの満足度を高める取り組みが重要になる」と強調した。

 帝国データバンク福島支店によると、観光客の伸びに対し、飲食業やサービス業を中心に受け入れ側が新型コロナ禍前と同水準の体制を用意できていないのが現状だ。担当者は「人手不足に加え、光熱費や物価の高騰に苦しむ事業者も多い。どの程度規模を拡大できるか、様子をうかがっている状況にある」と指摘した。