【二本松市長選ルポ】独自色発揮に懸命 「継続」「刷新」市を二分

 
二本松市長選が告示され、市内各地には三保、新野両陣営ののぼり旗がはためく

 寒風吹く20日の城下町・二本松市。26日投開票の市長選は序盤から戦いは激しさを増している。候補者ののぼり旗が激戦を物語るように市内各地ではためく。元職で元県議会議長の三保恵一(68)=無所属=と再選を目指す現職の新野洋(66)=同=が4年前の前回から立場を変えて再び対峙(たいじ)。政策面で明確な争点が見えない中、現市政の継続か刷新かを問う両候補は独自色を打ち出そうと市内を奔走する。

 「市民が主役、市民と共に希望の持てる二本松をつくる。停滞・低迷から脱却するため、これからの一生をささげる決意だ」。告示日の19日、三保は二本松藩戒石銘前で"二本松の大改革"を支持者に誓った。20日は大票田の旧市内などに遊説カーを走らせ、改革の必要性を訴えた。

 702票の僅差で敗れた4年前の雪辱を期す今回は、告示日の半年前から20カ所以上で市民との対話を重ね、公約を仕上げた。産婦人科医を確保した子育て支援や企業誘致・産業振興による雇用確保などを強調。選対本部長で市議の五十嵐勝蔵(74)は「今の二本松には決断力、実行力、スピード感を持った三保が必要」と絶大な信頼を置く。陣営は合併前の旧二本松市を含め3期10年にわたって市政を担った実績を前面に出す。

 県議時代から根付く後援会組織が活動の軸。市議25人のうち11人が支持。一部政党を構成団体に含む市民団体や参院議員増子輝彦の後援会も支援をする。

 「二本松を元気に、さらに力強く前に進める。良い流れを加速させ、次世代につなぐ素晴らしい二本松を皆さんとつくる」。19日に旧亀谷ロータリーで放った新野の第一声に、支持者が拍手で応えた。20日は市西部や安達地域などを回り、市政の継続を訴えながら政策の浸透を図った。

 現職として定住・子育て支援の充実や観光交流人口の拡大などの実績を強調。これらを進めつつ、東京農工大と連携した新しい農業ビジネスも創出すると訴える。選対本部長の安斎文彦(60)は「市の発展は上昇の軌道上にあり、新野市政の継続しかない。時計の針を戻してはならない」とし「政策面では負けない」と意気込む。

 市議14人が支持し、自民党二本松総支部や連合福島、自治労が推薦する。自主投票を決めた公明党では市議が応援する。第一声では、二本松市を選挙区とする元復興相の衆院議員根本匠がマイクを握り、新野との連携を市民に強調した。

 両陣営の熱意とは裏腹に、市民は冷静に遊説カーに目を向ける。4歳の長女がいる団体職員(27)は「待機児童の解消に向けた保育士の処遇改善や、中心市街地の活性化が必要だ」とさらなる政策論争を期待する。市民に寄り添った政策をどれだけアピールできるか。市を二分する激戦は最終盤までもつれそうだ。(敬称略)