【県都・福島の針路】変化への対応 将来像は「風格ある県都」

 
東北中央道福島大笹生―米沢北インターチェンジ間の開通など、福島市を取り巻く環境は変化している

 「風格ある県都に」。木幡浩氏が市長選で訴え続けてきた福島市の将来像だ。政府は21日、福島市など6市の来年4月の中核市移行を閣議決定した。4日には福島市と山形県米沢市をつなぐ東北中央道福島大笹生―米沢北インターチェンジ(IC)間が開通するなど、市を取り巻く環境は大きく変貌を遂げつつある。木幡新市政は、変化とともに県都をどう前に進めるのか。

 福島市の中核市移行は現職の小林香市長が主導して進めてきた目玉施策の一つだ。中核市としての船出は木幡市政が受け継ぐことになる。中核市への移行後は保健所の開設などで約2000の事務権限が県から市に移るため、まずは中核市への移行を円滑に進められるかが木幡市政の課題となる。

 中核市になれば、周辺市町村と連携し、広域の経済活性化や交通ネットワークの形成など国の交付金を活用した事業が可能となる連携中枢都市圏を構築できるようになるなど、広域連携の推進にも期待が高まる。

 「まずは周辺市町村としっかりと信頼関係を築き、(両者ともに恩恵を受ける)『ウィン・ウィン』の関係をつくることが重要だ」。飯舘村出身の新市長が描くのは、福島市が県北の中心都市として市中心部の活性化を進め、コンベンション機能の充実などで都市機能をさらに高める。そこに集まった人たちが周辺の市町村に流れ、共に活性化していく、そんな都市の姿だ。

 南東北の東西を結ぶ東北中央道福島大笹生―米沢北IC間の開通も大きなチャンスとなる。2020年度中の開通を目指す「相馬福島道路」などの整備も見据え、本県の浜通りから山形市までが一本の道路でつながる時代に果たす福島市の役割は大きく、その可能性にも期待が寄せられる。

 広域的な観光PRや企業誘致に加え、新市長は「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想が進む浜通りの玄関口としても、市の価値を高めていく」と意欲を示す。水素バスを福島市から相双に走らせるなど連携のアイデアも既に示している。

 20年東京五輪では福島市のあづま球場で野球・ソフトボール競技の試合が開催される。本県復興を世界に発信するには、受け入れ態勢づくりも急務となる。震災から6年8カ月が過ぎ、木幡氏が市長選で訴えてきた「新ステージ」に今、向かおうとしている。