田村市長選当選の白石氏「市政を再検証」 地域で課題の優先度決定

 
「今、ここに住む人が豊かで幸せになることが第一」と語る白石氏

 11日に投開票が行われた田村市長選で初当選した無所属新人で元市議の白石高司氏(61)は福島民友新聞社の取材に応じ、人口減問題への取り組みや活気あるまちづくりに意欲を見せた。新たなリーダーに選ばれた白石氏に抱負などを聞いた。

 ―当選おめでとうございます。選挙戦を振り返り、一番の勝因は。
 「市議時代、私一人でも確実にできることを公約に掲げた。それは市民の声に耳を傾けること。今回の市長選でも箱物行政に不安を抱く声や、公平公正な市政を望む声を聞いた。そうした声が市政刷新につながったのではないだろうか」

 ―最初に取り組みたいことは。
 「現市政の再検証をしたい。有識者などで第三者委員会などをつくり、政策決定プロセスを評価する。行政執行の流れで改善点が見つかれば、直していきたい。今後、人口が減っていくことを踏まえ、みこしを軽くしていく作業が必要になる。市の事業が将来にわたり市民の利益になるのかどうか、検討していきたい」

 ―人口減対策に特効薬はない。人口減問題について考えることを聞きたい。
 「例えば企業誘致をして人が増えただけでは、地域は幸せになれない。今、ここに住んでいる人たちが豊かで幸せになることが第一。そうなれば市外に出て行かないし、田村を目指して来る人もいるかもしれない。その結果、人口が増えれば、人口減問題の最大の解決策になる」

 ―5町村が合併して誕生した田村市。合併後の現状をどう見るか。
 「かなり広域な行政単位となった。限られた財源の中で、あれもこれもはできない。各地域の実情が異なるため、一律なサービスはかえって格差を生む。地域の行政課題解決の優先順位を各地域で決める仕組みをつくりたい」

 ―ごみ処理施設の集約化を巡り意見が異なったため、三春、小野両町とつくる「田村広域行政組合」は解散が決まっている。ごみ処理や周辺自治体との関係性について、今後の見通しは。
 「組合解散が決まってから3市町とも首長が代わり、新たなスタートラインに立てる可能性がある。お互いに施設を共有することで、ごみ処理コストが下がるなら、市民サービスの向上につながる。課題を共有するために、まずは話し合いの場を持ちたい」

 ―震災復興関連の予算は減ると予想される。地域復興やまちづくりの構想を。
 「原発事故の風評被害は、いまだにある。論より証拠で、人に来てもらい、農産物を味わってもらえるような施策を打ち出したい。また、田村市には素晴らしい桜がたくさんある。そこで、市民から桜を募り『桜総選挙』を実施したい。地域資源を見つめ直すきっかけになる。選ばれた桜でスタンプラリー形式のイベントを催せば、人が来て、産品が売れるかもしれない。小さな成功体験を積み重ねることが、活気あるまちづくりのためのヒントになる」