福島県議選、11月決戦へ...各党臨戦態勢 議会閉会、71人出馬準備

 

 任期満了に伴い11月2日告示、同12日投開票で行われる県議選前最後となる9月定例県議会が4日閉会し、「11月決戦」に向けた事実上の選挙戦に入った。4日現在、全19選挙区(定数58)に現職53人、新人16人、元職2人の計71人が立候補を予定しており、候補者を擁立する県内各党も告示まで1カ月を切った選挙戦に向けて臨戦態勢に入った。

 現職29人と新人3人の計32人を公認、新人2人を推薦する自民党は初めて重点選挙区を設定。現職が引退する二本松市と南会津郡、空白区の石川郡、無投票が続いてきた河沼郡と大沼郡の5選挙区で地元衆院議員らを中心にてこ入れを図る。9月定例会閉会後の議員会議では、西山尚利県連幹事長が「県民の負託に応えるため、全員で当選しよう」と語り、頑張ろう三唱で気勢を上げた。

 現職、新人計13人を擁立する立憲民主党は9月定例会閉会直後に選対本部を設置し、選挙戦に向けてギアを上げた。新人を擁立するなどした計7選挙区を重点地区とし、国会議員に加え、今期で引退する県議の豊富なネットワークを駆使し、支持拡大を訴える方針だ。高橋秀樹県連幹事長は「(県議会会派の)県民連合の中心部を担っていくためにも全員当選を勝ち取る」と決意をにじませた。

 県議会で全ての常任委員会入りを狙う共産党は、立候補を予定する現新計6人全員の当選を目指す。福祉の充実など暮らしを守ることを前面に打ち出す方針。

 公明党は2議席を持ついわき市を全国最重点区と位置付け、党幹部が応援に入る。福島市、郡山市の両選挙区を含む現有4議席の維持を目指す。

 県議会に議席を持たない日本維新の会はいわき市に1人を擁立し、県内での党勢拡大の基盤にしたい考えだ。他選挙区での擁立も直前まで模索するという。

 このほかの政党に候補者擁立の動きは現時点で見られず、各選挙区の構図は固まりつつある。全19選挙区のうち10選挙区が選挙戦となる見通し。迫る戦いの時に向け、各陣営が着々と準備を進めている。

 「サヨナラ県会」閉会、互いの健闘約束

 改選前最後の"サヨナラ県議会"が4日閉会し、11月2日告示、同12日投開票で行われる県議選への動きが熱を帯びてきた。記録的豪雨からの復旧や、第2期復興・創生期間後の財源の枠組み、長い時間を要する東京電力福島第1原発の廃炉と処理水の処分、急激な人口減少への対応など、難しい課題が横たわる中、東日本大震災後4度目となる「秋の決戦」が始まる。

 「必ず全員で戻ってこよう」。9月定例会最終本会議を終えた議場では、県議が握手を交わし、互いの健闘を約束し合う姿が見られた。会派の控室からは必勝を期すときの声も響き、選挙ムードが高まる。

 迫る選挙戦に向け、立候補予定者は復興の加速化や物価高騰への対応、防災対策など県政課題の解決に向けた政策を訴えようと意欲をみなぎらせる。

 4年間の大半を新型コロナウイルス対応に費やした現任期。ある会派の代表は改選後を見据え「新型コロナ禍の行動制限でおろそかになってしまった県民との関わりを取り戻し、身近な県議会づくりを進めていきたい」と自らに言い聞かせるように決意を口にした。