「サヨナラ福島県議会」閉会、任期総括...新型コロナ、災害対応奔走

 
9月定例会閉会後に議場を後にする県議

 「社会構造が急激に変容する中で、そのスピードに福島県議会がどのように対応し、次の世代につなぐことができるかが問われる4年間だった」。県議会会派の代表が総括するように、現任期は大半を新型コロナウイルス感染症の対応に追われ、地震や豪雨といった災害が続いた。県議は東日本大震災からの復興に加え、新たな課題に異例の対応を迫られながら、予算審議や政策調査、提言を重ねてきた。

 2019年11月に始まった現任期の数カ月後から続いた新型コロナ禍。医療崩壊を防ぎ、県民を守るための施策を速やかに審議する必要があるとして、20年5月の大型連休と翌21年5月に臨時会の招集を県議会側から要請、1981年以来の休日開催となった。21年には特別委員会を設置し、疲弊した地域経済の回復などに向け活発に議論した。

 福島県沖を震源とする21年と22年の2度にわたる地震や台風の被害発生時には被災者の声を届け、グループ補助金などの支援策の構築を急ぐよう動いた。2月定例会の会期中に起きた22年の地震の際は、審議日程を繰り上げて災害対応に当たった。4日閉会した9月定例会では記録的豪雨の被災者への支援策を議決した。

 4年間で制定した議員提出の政策条例は3件。このうち「子どもを虐待から守る条例」では県や市町村、保護者、県民、関係機関の責務や役割を明確にした。ほかに現行の議員定数58を維持する条例も制定した。

 震災復興を巡っては、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出や、帰還困難区域の避難指示解除、福島国際研究教育機構(エフレイ)の設立、東京五輪の県内開催など地域再生が次の段階へ進む動きがあった。

 こうした情勢変化を見据えた県の最上位計画「県総合計画」の策定に当たり、県議会は超党派の調査検討委員会をつくって県の針路について議論を重ねた。

 改選後は、第2期復興・創生期間(21~25年度)後の財源確保が焦点となる。戦後初めて県人口が180万人を割り込んだ中、人口減への対策など腰を据えて取り組むべき課題が山積している。復興・創生を加速させ、急速な社会の変化に対応していくため、来年で10年を迎える内堀県政と共に二元代表制の一翼を担う県議会の役割は重みを増している。