山口一郎、うつ病と向き合った2年間 今の思いを語る「自分が好きだってものをあきらめない」

(音楽)
 
山口一郎 (C)ORICON NewS inc.

 NHKスペシャル『山口一郎“うつ”と生きる~サカナクション 復活への日々~』が、5月5日に放送(後9:00)。密着映像などを通して、山口一郎がうつとともに生き、歌い続ける姿に迫った。

【予告動画】山口一郎、うつ病と向き合った2年間に密着取材

 山口がうつ病と診断されたのは、2022年6月。発症の大きな原因は、20年のパンデミックだった。“不要不急”のものとされ、仕事を失った音楽業界の仲間を救おうと、基金の設立に動くなど、自分にできることは何か、模索を続けた。そしてパンデミックの出口が見え始めた時、心と体が悲鳴を上げた。

 山口は、当時を「(パンデミック)真っ最中の時は、ある種、躁状態だったと思います。生配信で歌ったりとか、苦しんでいる人たちの状況を対談で聞いたり。今思えばその時から疲れが取れないとか、全然寝られないとか。でも、仕事のスイッチが入ると頑張れちゃう」と回顧。「キャパシティを超えちゃったという気がします。うつ病ってたぶん、もともと誰にもあるんですよ。それが大きくなって、ふとしたきっかけで決壊する。1回決壊すると、それが体に広がっていく。心から体に広がっていって、どうしていいかわからなくなる」と話した。

 そして、22年にうつ病と診断されたが「今初めて話しますけど、最初信じてなかったんですよ。薬を飲まなかった。そうしたら、どんどん悪くなっていって」と告白。「うつ病になって、好きなものができなくなるって言われるけど、本当で、音楽が真っ先に自分から離れていった。圧倒的な孤独と不安。周りがあきらめちゃうんじゃないかなという心配があった。メンバーからもあきらめられるんじゃないかという怖さがあった」と打ち明けた。

 今も症状は、一進一退を繰り返しており、番組では全国ツアーに挑むまでの山口の状況を紹介。そして迎えたツアー初日。山口は、密着のカメラに「この病気になってから、あしたはどうなるか。久々にあしたのことを考えず、今のことだけを考えて、こうやってライブやれるって幸せですよね」と話した。番組の最後には、山口の「うつ病とにらみ合って、いなくなれと思っても、つらくなるだけだと。『この野郎!』と肩を組むくらいの気持ちで。一番大事なのは、自分が好きだってものをあきらめない。それはできる」との言葉が伝えられた。