バスケB2【ファイヤーボンズ奮闘の10年】若手が成長、競争意識

 
主力として活躍した福島のキング。チームは競争意識が芽生えるなど収穫があったが、さらなる飛躍には守備から攻撃のリズムをつくることが求められる=4月、円谷幸吉メモリアルアリーナ

 バスケットボール男子Bリーグ2部(B2)の福島ファイヤーボンズは創設10年の今季、レギュラーシーズンを24勝36敗の東地区7チーム中5位で終え、B2に残留したが、3季連続でのプレーオフ(PO)進出を逃した。今季の戦いぶりや積み上げてきた成果と課題を振り返り、B1昇格への鍵を探る。

 ■選手入れ替わり前向きに

 昨季は2季連続のプレーオフ(PO)進出を決めるなど、創設10年で着実に力をつけてきた福島ファイヤーボンズ。それだけに「(PO進出を)途絶えさせてしまったのは私の力不足でしかない」と栗原貴宏ヘッドコーチ(HC)は悔やんだ。

 力がないわけではなかった。今季は56勝4敗で東地区首位を独走したアルティーリ千葉に95―86で勝利するなど実力を示した。一方で下位チームに敗れることもあり、「できていたことができなくなるアップダウンが激しいシーズンだった」と主将の田渡凌は語った。

 選手の入れ替わりも激しかった。開幕前、チームに3季在籍した元フィンランド代表のエリック・マーフィーがけがの影響で退団。開幕後も今季加入した元フィリピン代表のロバート・ボリックも本人の意向により早々に退団した。けがによる主力の離脱もあった。

 それでも新加入のラポラス・アイバナーカスや開幕直前に加入したテレンス・キングらがスピードを生かしてインサイドで力を発揮。3点シュートが得意な選手も多いチームは、土家大輝や多田武史らが外からの得点で貢献した。

 今季の特徴を栗原HCは「シュートが入ることでリズムをつかんだ」という。しかし、シュートはやはり「水物」。A千葉を例に挙げ「強いチームは自分らの調子が悪くても守備からリズムをつくれる」と指摘する。

 今季は多くの選手が入れ替わり、クラブ創設時から9年間在籍した功労者でもある村上慎也らが退団。ファンから戸惑いの声が上がったが、チームを運営する福島スポーツエンタテインメントの西田創社長は「何も後悔していない」と断言する。

 それは若手選手が技術や精神面で成長したことや、シーズン当初に指揮したエンリケ・スニガ氏の指導により、チーム内で競争意識が芽生えたためだという。

 互いに成長し合う土壌が新たにでき始めたチーム。そこに上位チームが実践するような守備からリズムをつかむ形が浸透すれば、B1昇格が見えてきそうだ。

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