福島県の日本酒18点「優等賞」輝く! 南部杜氏自醸清酒鑑評会

 

 南部杜氏(とうじ)協会(岩手県花巻市)は16日、2019酒造年度(19年7月~20年6月)の日本酒の出来栄えを競う南部杜氏自醸清酒鑑評会の審査結果を発表した。県内からは吟醸酒の部で11点、純米酒の部で7点が「優等賞」に輝いた。
 吟醸酒の部に全国の127製造場から294点、純米酒の部に117製造場から269点が出品された。

 審査は新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月から延期となっていた。本来は全国の国税局鑑定官や各指導機関の研究員らが務める審査員を岩手県内の醸造関係者に限定し、今月2、3の両日に1次審査だけを実施。2次、3次の審査と最終審査に当たる決審は中止となり、優等賞の中から順位を付ける「上位入賞酒」は決めなかった。

 鑑評会は1911(明治44)年に始まり、今年で101回目。今回から純米吟醸酒の部を廃止し、2部門となった。出品数は1製造場につき最大3点。表彰式は行わず、優等賞の杜氏や酒蔵に賞状などを送る。

 「妥協ない姿勢結果に」

 【南会津・国権酒造】吟醸酒、純米酒の2部門で優等酒に入賞した国権酒造(南会津町)の細井信浩社長(48)は「造り手の妥協しない姿勢が結果として表れた。福島の技術の高さが証明された」と話した。

 今回の仕込みには、原料となるコメの硬さや例年にない暖冬の影響で、慎重な作業と高い技術が求められたという。

 全国新酒鑑評会で、12年連続金賞を獲得している同社。のしかかるプレッシャーをばねに丁寧な酒造りを徹底している。「自己満足ではいけない。個性を出しつつ、飲み手が喜ぶ最高の酒を造っていく」と、飽くなき探求は続く。

 「来年1位に返り咲く」

 【矢祭・矢沢酒造店】矢沢酒造店(矢祭町)杜氏(とうじ)の小松孝行さん(63)は「入賞して大変うれしい。温度管理やコメの浸漬時間を調整するのに苦労した。昨年よりも香りや味を良く仕上げることができた」と話す。過去の鑑評会では、(実質の最高賞となる)大蔵大臣賞も受賞したことがある。近年は入賞から遠ざかっていたが「これを機に来年は1位に返り咲きたい」と意気込んだ。

 今後は「全国新酒鑑評会で入賞することを目標に酒造りに取り組みたい」とさらなる精進を誓う。