金賞酒蔵「さらなる支援を」 8回連続日本一報告、福島県に要請

 
金賞受賞数8回連続日本一を喜ぶ内堀知事(前列中央)と各酒蔵の代表者

 本県の酒蔵が全国新酒鑑評会で史上最多の金賞数8回連続日本一を達成したことを受け、県は25日、県庁で受賞蔵の報告会を開いた。

 受賞蔵からは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う窮状と支援を訴える声が相次ぎ、内堀雅雄知事は「酒類を提供する飲食店に営業時間短縮を要請中だが、今月中にもう一息感染者数を減らし、解除に持っていくのが最優先」と述べ、早期解除に向けた環境整備へ意欲を示した。

 末廣酒造博士蔵(会津美里町)の新城猪之吉社長は「受賞はうれしいが(時短要請で)肝心の飲食店で酒が売れない状態。日本一であり続けるために、酒が循環する政策を検討してほしい」と要請。「飲食店は(時短要請に伴う)補助金が出るが、小売や卸、メーカーには何もない。飲食店を救うと同時に、われわれも救う仕組みが欲しい」と求めた。

 金水晶酒造店(福島市)の斎藤美幸社長は「新型コロナでお酒が動かず、在庫が積み上がっている状態。新たにタンクを仕込むかどうかは私たちとしても決断だったが、全国新酒鑑評会に挑戦することが大切と思い、新酒を仕込んだ」と思いを明かした。

 県独自の非常事態宣言に伴い時短を要請している内堀知事は、感染の抑え込みに加え「皆さんのおいしいお酒を全国で売ることができるやり方を新たに検討していく」と述べ、県産酒の販売促進に向けた新たな一手を打つ方針を示した。

 【8連覇喜びの声】金賞受賞報告会では、金水晶酒造店(福島市)松崎酒造(天栄村)寿々乃井酒造店(同)千駒酒造(白河市)笹正宗酒造(喜多方市)花春酒造(会津若松市)末廣酒造博士蔵(会津美里町)の計7蔵が受賞の喜びや仕込みの苦労などを語った。

 蔵元の技術指導に当たる県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターの鈴木賢二副所長も参加し「本県の酒造りの技術が非常に高いことの証明。次からも自信を持って造ってほしい」とたたえた。26日も県庁で報告会を開催し、金賞受賞7蔵が参加する予定。

 25日の報告会での各蔵の声次の通り。

 ▽金水晶酒造店(福島市)斎藤美幸社長 日本酒は福島の誇り、地元の誇りを伝え続けるもの。これからも頑張りたい。

 ▽松崎酒造(天栄村)松崎祐行専務 コロナ下でも本当においしいものを変わらず造り続けてきた。受賞は蔵人一同の励み。

 ▽寿々乃井酒造店(天栄村)広報・鈴木理奈さん 新型コロナ感染者が出たらと不安だったが、努めてにこやかに過ごした。

 ▽千駒酒造(白河市)菊地忠治製造部長(杜氏(とうじ)) 14年ぶりの金賞で、造り人や会社全体の喜び。本当にほっとしている。

 ▽笹正宗酒造(喜多方市)岩田悠二郎社長 県産米「夢の香」を使い、3年ぶりの受賞。受賞を続けられるよう頑張りたい。

 ▽花春酒造(会津若松市)杜氏の柏木純子さん 新体制となり初の金賞。福島の連覇に貢献できる蔵元になっていきたい。

 ▽末廣酒造博士蔵(会津美里町)新城猪之吉社長 受賞はうれしいが、現実はこれから。どう売りどう飲んでもらうかが重要。