日々訓練...高い技術で味追求 中通りの金賞2蔵元、新酒鑑評会

 

 価値観ぶらさず酒造り 人気酒造(二本松市)

 審査結果が25日に発表された2021酒造年度の全国新酒鑑評会で、二本松市からは人気酒造と、奥の松の醸造元の東日本酒造協業組合が金賞を受賞した。人気酒造は4年ぶり6度目、東日本酒造協組は13回連続22度目の受賞。

 このうち人気酒造の遊佐勇人社長(56)は「規格が高い全国新酒鑑評会で、人気酒造の酒造りが金賞を受賞できる能力があると評価されたのは本当に喜ばしい」と喜びを語る。

 同社は、地元の酒米や水で仕込み、日本酒を仕上げる。「蔵人たちが日々訓練し、技術力を高めて日本人好みの味を追求している」と遊佐社長。金賞の受賞に「今年の酒は追い求めるものができた証し」と胸を張った。

 日本酒の現状を巡り「市場が変わってきている」と指摘。国内市場が縮小する一方、海外への輸出が増える傾向にある。「海外に好みを合わせれば、日本酒の価値観にも影響する」と分析する一方で「価値観をぶらさずに日本酒を造り続けることが必要だ」と語った。


220527sake-nihonmastu-ninkiiti705.jpg「日本人好みの酒ができた」と受賞を喜ぶ遊佐社長

 ふくよかな味に仕上げ 寿々乃井酒造店(天栄村)

 審査結果が25日に発表された2021酒造年度の全国新酒鑑評会で、寿々乃井(すずのい)酒造店(天栄村)は19酒造年度の中止を挟んで3回連続の金賞に輝いた。広報の鈴木理奈さん(53)は「ここ数年で最も出来が良く、好感触だった。受賞できてほっとした」と喜びを語った。

 同蔵元は、裏山から湧く軟水を使って酒を仕込んでおり、口当たりの良さと繊細な甘みを売りとする。今回は温度管理に苦労したが、例年以上にふくよかな味に仕上がったといい、鈴木さんは「蔵人のおかげで良質な酒ができた」と話す。

 県全体でも金賞受賞銘柄数が9回連続で日本一となり、日本酒需要の高まりを期待する。「多くの人が家庭などで日本酒を楽しんでくれればうれしい」と語った。

220527sake-tenei-suzunoe706.jpg「ここ数年で最も良い酒ができた」と金賞を喜ぶ鈴木さん