「福とら」の季節到来 相馬で料理提供開始、冬の名物へ正念場

 
寝かせてうまみを引き出したトラフグの刺し身「てっさ」=相馬市・ホテル飛天

 相馬市の飲食店や宿泊施設で5日、相双沖で水揚げされたトラフグ「福とら」の料理提供が本格的に始まった。水揚げ急増を受け、市観光協会などがPRに本腰を入れてから今季で3年目になる。関係者は「知名度浸透に向けて今シーズンは正念場。冬に相馬に人を呼ぶ起爆剤にしたい」と意気込む。

同市のホテル飛天ではこの日、白く透き通った刺し身「てっさ」、ぷりぷりとした食感が楽しめる鍋「てっちり」、から揚げを宿泊客に出した。振る舞われたトラフグは、今季のフグはえ縄漁の初日となる2日に松川浦漁港で水揚げされた。

 社長の管野貴拓さん(47)によると、トラフグは仕入れてすぐに締めて寝かせ、もっちりとした食感と繊細な味が出てくるのを待った上で客に提供する。「相馬のトラフグはうま味が強い。一度食べてもらえれば、良さが分かってもらえる」と自信をにじませる。市観光協会によると、今年は昨年の8店舗を超える市内11店舗がふぐ料理を取り扱う予定だ。

 提供店舗の拡大に向けた動きも加速化している。有毒部位があるフグの取り扱いには、専用の調理器具の設置や有資格者の配置が求められるが、市によると有資格者がいない飲食店でもふぐ料理を出せるよう、調理許可を得た加工施設で有毒部位を取り除き、「身欠き」にして飲食店などに供給する取り組みが始まったという。県も、これまで実施していなかった資格取得に向けた試験を11月に実施する予定で、フグを安全に調理できる人材の育成に力を入れる。

 ふぐ料理のシーズンになると、市観光協会には「どこで食べられるのか」といった問い合わせが多く寄せられるという。担当者は「泊まって食べたい、お昼に食べたい、などお客さんの要望はさまざま。満足してもらえるよう飲食店とうまくつないでいきたい」と話した。取り扱い店舗に関する問い合わせは市観光協会(電話0244・35・3300)へ。