スタジアム構想...地域活性化の核 いわきFC、スポーツ庁事業採択

 

 サッカーJ2のいわきFCのホームスタジアム整備を巡り、チームを運営するいわきスポーツクラブ(SC)は19日、先進的な施設の構想・計画策定を支援するスポーツ庁の「スタジアム・アリーナ改革推進事業」の実行団体に採択されたと発表した。今後は既存施設の改修や新施設の建設などスタジアム整備に向けた方向性を含む構想策定への検討作業に入り、来年3月までにまとめる方針。同SCは試合だけでなく、地域課題の解決や新たな産業創出などへの寄与も想定しており、課題だったスタジアム議論を本格化させる。

 いわき市で大倉智社長が記者会見し発表した。同SCはスポーツ庁と委託契約を結び、5月にも協議する場を設けて施設整備に向けた合意形成を図るとともに、方向性や具体的な収支計画などを盛り込んだ構想を検討する。会見に同席した内田広之いわき市長、小野栄重いわき商工会議所会頭は積極的に支援する方針を表明した。

 大倉社長は、子育てや高齢化といった地域の課題解決や新たな産業創出につながるような、試合会場にとどまらない多彩な機能を持った施設の在り方を強調した。協議の参加者については、まちづくりやビジネスの観点から同市の官民団体でつくる「スポーツによる人・まちづくり推進協議会」のメンバーを念頭に人選する方針を示した。

 政府は成長戦略の中で、「観(み)るスポーツ」のためのスタジアムやアリーナを、経済や観光への波及効果を生み出す地域活性化の起爆剤となる基盤施設と位置づけている。交流拠点として2025年までに全国に20カ所を選定することを目標としている。

 同事業では、Jリーグに所属するブラウブリッツ秋田、V・ファーレン長崎、FC今治の整備計画も採択されている。

 一方、いわきFCが今季参入したJ2のライセンスはスタジアム施設基準の例外申請によって交付されており、25年6月までに具体的な整備計画をJリーグに提出することが求められている。事業で策定する構想はJリーグに提出する計画とは異なるものの、大倉社長は「計画(の内容)に近づけていくことになるだろう」と述べ、構想策定に向けた議論の中でも検討していく考えを示した。