五輪経験、子どもたちへ 2012年競泳代表・加藤さん教員に

 
「自分らしさを大切にして生きることを伝えたい」と意気込む加藤さん

 2012年ロンドン五輪競泳の女子200メートル個人メドレーに出場した加藤和(いずみ)さん(34)=桜の聖母短大卒=が1日、本県教員としての一歩を踏み出した。「自分らしさを大切にして生きることを伝えたい」。大舞台で培った経験を生かし、将来を担う子どもたちに挑戦する大切さなどを伝えていく。

 加藤さんは山梨学院大4年時にロンドン五輪に出場した。当時から教員にもなりたいと考えていたが、大学での競泳の練習と、教員免許の取得の両立は難しいと考え、教員への道は断念した。五輪出場後は県内外の小学生らに夢について授業する経験があった。新型コロナウイルス禍には自身の将来を考え直す機会があり、教員を目指すため、2021年に上越教育大大学院に入学して教員免許を取得。23年に行われた本県の教員採用試験に合格した。

 加藤さんは1日、福島市で行われた県北地区の新採用教職員の辞令交付式で自身の五輪出場の経験を踏まえ「これからも変化し続ける未来を生きる子どもたちが、人とのつながりの大切さを学べるようにする」と代表あいさつ。さまざまな場所で活躍できる人材を育成する決意を述べた。

 代表あいさつした加藤さんだが「五輪出場と同じくらい緊張した」と心境を語る。今後は福島市の吉井田小で教壇に立つ。「子どもたちと過ごす一日を大切にしていきたい」と笑顔を見せた。

 県教委によると、五輪出場経験者が本県の教員になるのは珍しいという。県教委の担当者は「貴重な体験を生かして子どもたちに挑戦することや希望を醸成してほしい。子どもが目標を持つきっかけになるはずだ」と期待を寄せた。