「なぜ西郷だけ4区」...戸惑いの村民 衆院選・区割り改定案

 
白河市民をはじめとする県南の住民が数多く利用する西郷村のJR新白河駅。区割りが改定されれば福島4区に含まれる

 「なぜ西郷だけが4区に」。衆院選挙区画定審議会(区割り審)が19日、安倍晋三首相に勧告した区割り改定案は、現福島3区の西郷村を会津を範囲とする福島4区に編入するものだった。「県南に対する分断線だ」。2万人を超える人口を抱える県内最大の村に、大きな衝撃が走った。

 西郷村の選挙人名簿登録者数は3月2日現在、1万6413人。区割りが改定されれば、今後の衆院選ではこれまで会津全域だった福島4区の候補者に投票することになる。同村の団体職員金田一真佑さん(23)は「これまで交流の少なかった会津の選挙区に入る根拠が見えない」と戸惑いを見せた。

 県南各市町村と連携してきた同村。特に「母都市」(佐藤正博村長)とする白河市とは、JR新白河駅周辺を中心に市村の枠を超えて地域振興を図ってきた。数十メートル先は白河市という相山一郎さん(80)は「生活環境が同じご近所と、違う選挙区になることに違和感を感じる。民意が中央まで届かない可能性もあるのでは」と不安を吐露。会社役員名和淳子さん(42)は「村の行政の方針にも少なからず影響が出るはず。選挙区は変わるかもしれないが、他の自治体との連携、政策の方針は変えないでほしい」と注文を付けた。

 JR新白河駅や東北道白河インターチェンジを抱える同村は、企業誘致に成功する一方、県内外からの流入、移住が多いことなどから長年、各種選挙での低投票率という課題を抱えていた。昨年の参院選では東京電力福島第1原発事故による避難町村を除けば、人口30万人を超える郡山、いわき両市に次ぐ低さで、福島4区への編入は「選挙離れ」に拍車を掛けることにもつながりかねない。「選挙の流れが想像つかない。投票する人がさらに減ってしまうのではないか」。会社員成井匠さん(36)は、村民の懸念を代弁した。