【選挙区割り見直し・変わる戦略(下)】 各党急ぐ組織引き継ぎ

 

 「新たな区割りでの選挙を前提に対応しなくては。常在戦場の意識を徹底させたい」。民進党県連幹事長を務める県議の亀岡義尚は党本部から届いたメールを確認すると、郡山市で23日に開く常任幹事会(常幹)の議題に区割り改定案への対応を追加するよう、急ぎ事務局へ指示した。

 メールには区割り改定案の資料と共に、「党選対委員長・馬淵澄夫」の名義で都道府県連と連携しながら協議・調整を進めていく旨の党方針が記されていた。常幹後に開かれる県連定期大会でも、党員らから区割り変更に関する質問が出ることも想定される。亀岡は「県連代表(福島3区・玄葉光一郎)を含め、丁寧に党の考えを伝える」と話す。

 会津全域を範囲とした福島4区に、3区から県南の西郷村を編入するとした衆院選挙区画定審議会の改定案勧告の余波は県内政党にも及び、今秋にも予想される衆院解散に向け、政党関係者は対応に追われる。

 自民党県連は勧告を踏まえ、県連役員や地元県議、3、4区支部の役員らが出席する対策会議を緊急に開く予定だ。県連幹事長の吉田栄光は「新たな区割りで選挙が行われるなら、西郷村では組織の引き継ぎが不可欠だ。公選法の周知期間と都議選が終われば、いつ解散があっても不思議でない」と気を引き締めた。

 自民党西郷支部は23日に西郷村で開く総会で、支部の党員から改定案について意見を聞く。吉田は区割りの変更について、多くの西郷村民が困惑している現状を認識する。「県連が中心となり、西郷支部や党員の不安解消、組織の円滑な引き継ぎに向けた責務を果たしていく。県連として第一にやるべきことだ」

 3、4区に公認候補の擁立を決めている共産党県委員会は、解散の時期をにらみながら段階的に対応を進める構え。衆院選で自民党公認候補を推薦してきた公明党県本部は、西郷村の党員や党支持者から意見を聞く場を設け、現場の声を聞いた上で今後の対応を検討する。社民党県連は支援組織との連携を進める方針だ。(文中敬称略)