いわき市長に現職・清水敏男氏再選 元新2氏を2万票差で破る

 
再選を決め、万歳三唱する清水氏(中央)と妻明美さん(左)ら=10日午後8時45分ごろ、いわき市平

 任期満了に伴ういわき市長選の投開票が10日行われ、無所属で現職の清水敏男氏(54)=1期=が再選を果たした。清水氏は、いずれも無所属の、元職の渡辺敬夫氏(71)、新人の宇佐美登氏(50)を2万票以上の差で破った。同市長選で現職候補の再選は2001(平成13)年の四家啓助氏以来。清水氏の2期目の任期は28日から4年。

 いわき市選管によると、投票率は49.13%(男性47.53%、女性50.65%)で、前回の51.13%を2.00ポイント下回り、市長選では過去2番目に低かった。当日有権者数は27万5079人(男性13万4137人、女性14万942人)。

 過去2番目の低投票率...政策論争見えず

 現職に元職と新人が挑んだ市長選は、現職清水敏男氏が再び市政のかじ取り役を託された。1期交代が2度続いたが、4年前とほぼ同じ顔ぶれの中、市民は「継続」を選択した。

 現市政の是非とともに、地域医療の再生や人口減対策など、復興の先を見据えた市の将来像などをどう示せるかが焦点となった。

 自民党いわき総支部からの推薦を受け組織力で臨んだ清水氏は、子育て、まちづくり施策など1期4年の実績を強調し、市政継続による復興の前進を訴え、有権者の支持を得た。吉野正芳復興相や公明党国会議員らの支えもあった。

 渡辺敬夫氏は後援会組織を軸に政党の垣根を越え「市民党」を掲げて戦ったが立候補表明が3候補で最後となった出遅れを挽回できなかった。このため支持層をまとめきれず、前回より1万票以上落とした。宇佐美登氏は地盤がない中で草の根運動を繰り広げ、市民の関心が高い地域医療の充実策を訴えて票を伸ばし、自民系の分裂に辟易(へきえき)した有権者の受け皿にもなった。

 期間中は折り込みチラシや印刷物などによる批判の応酬が目立ち、市民から「誹謗(ひぼう)中傷合戦にうんざり」「投票に行く気もなくなった」との声が漏れた。市の将来に希望を感じられる政策論争は見えなかった。

 その影響もあってか投票率は50%を割り、過去2番目に低い49.13%だった。いわき市長選として「18歳選挙権」が初適用された今回、新たに有権者の一員になった若者たちの目にどう映っただろうか。

 明確な争点がない中で清水氏の勝利となったが、清水氏の得票5万9814票が有権者全体に占める割合は22%。渡辺、宇佐美両氏の得票数を合わせた7万4081票は、清水氏を上回った。清水氏には、対立する意見にも耳を傾ける市政運営が求められる。

◇いわき市長選開票結果(選管最終、敬称略)
当59,814 清水 敏男 54 無現
 37,670 渡辺 敬夫 71 無元
 36,411 宇佐美 登 50 無新