国見町議選「定数割れ」 福島県内2例目、10人無投票当選

 

 任期満了に伴う国見町議選が28日告示され、定数12に現職8、新人2の計10人が立候補した。ほかに届け出はなく、定数を2人下回ったまま無投票当選が決まった。県選管によると、記録が残る1963(昭和38)年以降、県内で補欠選挙を除く選挙で定数割れしたのは、2017年の楢葉町議選に続き2例目。

 公職選挙法の規定では、欠員が定数の6分の1を超えなければ(国見町議会の場合は欠員3以上)再選挙は行われないため、次の任期に入る。任期は6月19日から4年。

 欠員による補選は、来年11月に任期満了となる町長選と同日程で行われる予定。それ以前に欠員が出た場合には50日以内に補選が行われる。

 国見町議選は前回15年は14人による選挙戦、前々回の11年は無投票。有権者数は27日現在で8035人(男性3880人、女性4155人)。

 ◆欠員2、なり手不足

 28日に告示された国見町議選は定数に満たないまま10人の無投票当選が決まり、地方議会での議員のなり手不足という課題が浮き彫りになった。「どこの自治体も抱えている問題。ただ、まさかうちの町がこうなるとは」。斎藤弘町選管委員長(74)は険しい表情を見せ、「有権者が権利を行使できないのは残念だ」と語った。

 4月に開かれた立候補予定者説明会に出席したのは9陣営。定数を満たそうと立候補を模索する動きはあった。今期限りで引退予定だったが、欠員が生じることに危機感を抱き、引退を撤回した議員もいた。

 しかし結果は欠員2。定数割れを知った同町の女性(71)は「恥ずかしいよね。議員が後継者を育てておかないから、こういうことになる」と話した。

 国見町議会は2007(平成19)年に定数を18から現行の12に減らした。近年も定数削減は議論されていたが「これ以上減らすと議会機能を維持できない」との意見があり、削減に至らなかった経緯がある。

 斎藤委員長は「議員だけでは食べていけないというのが、なり手不足の一因になっている」と指摘する。議員報酬は月22万8千円。ある議員は「議員は自営業や農家が多いが、そうした職種も後継者が不足している。会社員でも議員として活動できる議会に変えていく必要がある」と話した。

◇国見町議選当選者(定数《12》―10、届け出順、敬称略)
村上  一 70 町議 無現
東海林一樹 76 町議 無現
浅野 富男 71 町議 共現
松浦 常雄 77 町議 無現
八島 博正 81 町議 無現
渡辺 勝弘 60 町議 無現
松浦 和子 70 町議 無現
佐藤  孝 63 無職 無新
小林 聖治 58 農業 無新
佐藤 定男 68 町議 無現