会津若松市長に現職・室井照平氏3選 平出氏、阿部氏退ける

 
万歳三唱で3選を喜ぶ室井氏(中央)と妻陽子さん(右)=4日午後9時20分ごろ、会津若松市

 任期満了に伴う会津若松市長選は4日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属で現職の室井照平氏(63)=2期=が2万8038票を獲得し、同じく無所属で新人の元県議会議長平出孝朗氏(62)、前市議阿部光正氏(69)を退け、3選を果たした。室井氏は地方創生の推進に力を入れた2期8年の実績を強調、8年ぶりとなった選挙戦を制した。任期は7日から4年。

 投票率は53.41%で、過去最低だった8年前の59.99%をさらに6.58ポイント下回った。当日有権者数は9万8947人(男性4万6595人、女性5万2352人)。

 堅実な選挙戦展開

 室井氏は市内全域に張り巡らせた後援会組織を中心に堅実な選挙戦を展開、市庁舎整備計画など対立軸を打ち出して短期決戦を挑んだ平出氏らを退けた。

 4年前の前回に無投票で再選を果たした室井氏は、昨年12月に議会で立候補を表明。約50の後援会、支持組織を引き締め、8年ぶりの選挙戦に備えた。自民党市内3支部、公明党会津総支部、国民民主党会津若松市支部、連合福島などから推薦を得たが、政党色を前面に出さず、無党派層への浸透も目指した。

 選挙戦では、告示まで1カ月を切った中で出馬を決めた平出氏が、市庁舎整備計画を巡り、本庁舎の建て替え見直しを求めて争点化を図った。室井氏は建設費の財政的な裏付けや耐震性など、現庁舎の課題を示して事業の必要性を強調し、理解を求めた。

 平出氏は地域経済に停滞ムードが漂う中、一部の有力者の要請を受け、7月上旬に立候補を表明。県議辞職後、休眠していた後援会組織を始動させ、急ピッチで支持拡大を目指したが、出遅れは否めなかった。

 阿部氏は独自の経済政策を街頭演説などで訴え続けたが、及ばなかった。

 元自民党県議の室井、平出両氏は支持基盤が複雑に絡み合い、自民系支持者は二分された。市内に築いた人脈も重なり、支持固めと切り崩しの攻防は終盤に激しさを増した。市内を地盤とする2人の衆院議員は室井、平出両氏の個人演説会でマイクを握り、双方を支援するという形を取った。人口減少や地域経済の縮小など、市が取り組むべき課題は山積している。これらを解決するための地方創生に力を入れてきた室井氏の3期目は、成果を市民に示すことになる。その手腕に注目したい。

◇会津若松市長選開票結果(選管最終、敬称略)
当28,038 室井 照平 63 無現
 19,982 平出 孝朗 62 無新
  4,061 阿部 光正 69 無新