現職・伊沢史朗氏が無投票「3選」 双葉町長選、帰還向け整備

 
3選を果たして万歳する伊沢氏。左は妻節子さん

 任期満了に伴う双葉町長選が14日告示され、無所属で現職の伊沢史朗氏(62)=2期=のほかに立候補の届け出がなく、前回に続き無投票で3選を果たした。

 伊沢氏は、帰還困難区域のうち再び人が住めるように整備する特定復興再生拠点区域(復興拠点)の除染や建物解体、一部避難指示の先行解除、中野地区復興産業拠点の整備などに力を注いだ。町民の生活再建、国や県、応援自治体からの継続的な人的支援の確保などにも当たってきた。

 3期目は2022年春を目標とする復興拠点全域の避難指示解除と帰還開始、駅西地区への居住環境の整備などに取り組む。

 帰還が始まれば、町民の帰還率や定住人口に注目が集まる。町民にとどまらず、移住希望者を引き付ける住みやすく魅力あるまちをつくりながら、復興拠点から外れた帰還困難区域の今後の見通し、町内での学校再開などについての議論を進めなければならない。

 さらに、新年度からの5年間は復興の新たなステージとなる「第2期復興・創生期間」に入る。町の復旧・復興は緒に就いたばかり。復興の加速に必要な財源を確保するため、国や県とのより緊密な連携も課題となる。

 当選証書交付式は25日午前11時から、いわき市の町いわき事務所で行われる。任期は3月10日から4年。

 難題への実行力期待

 震災と原発事故からの本格的な復興を形作るため重要な今後4年間を誰に託すのか、が問われた双葉町長選。無投票で3選を決めた現職伊沢史朗氏は、2022年春の帰還開始を目標に掲げ、一部避難指示の先行解除や町内の産業創出などを進めてきた実行力が有権者の信任を得た。

 公共施設整備に伴う将来の財政負担や、廃炉作業が続く中での安全・安心の確保などに懸念を示す声もある。しかし、山積する難題に力強いリーダーシップや国、県との交渉力などが必要として、町政継続への期待が勝り、有力な対抗馬擁立の動きはなかった。

 復興へと歩む町の姿に、一度は諦めた帰還に希望を見いだす町民も現れている。町民にさらに明るい未来を示せるか、伊沢氏の手腕に期待したい。