福島県内各党「海洋放出」争点は必至 衆院任期満了まで半年

 

 衆院議員の任期満了まで、21日で半年となる。収束を見通せない新型コロナウイルス感染症対策に加え、県内では東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針についても争点になるのは必至だ。県内5小選挙区に現職、新人計11人が立候補を予定、比例東北には本県関係の新人1人が出馬を決めた。菅義偉首相が「新型コロナ対策が大前提」として早期解散に慎重な姿勢を見せる中、決戦まで半年を切った県内各党の思惑を探る。

 自民党は、現職5人が立候補する見通し。海洋放出を決定した政府方針の影響は、政権与党として「ゼロではない」(県連関係者)とみる。県連として、県民の理解を得るための丁寧な説明や風評対策の明示など「国に対し毅然(きぜん)とした態度で臨む」(同)との方針だ。

 その上で渡辺義信県連幹事長は「選挙への影響を気にして動くのではなく、本県復興のために行動した結果が選挙の結果としてついてくるとのスタンスで臨む」と強調。前回は2小選挙区で落選、比例東北で復活しており、次期衆院選は5議席独占を目指す。

 公明党は、小選挙区では連立政権を組む自民候補を支援し、比例東北での2議席獲得を目指す。処理水を巡っては、政府の方針決定を受けて県本部に検証委員会を設置。県本部の伊藤達也幹事長は「風評被害が起こらないよう、正確な情報発信に努めることが必要」と話し、検討委で現状と課題を整理した上で政策提言などを行う方針だ。

 野党第1党の立憲民主党は、政府の海洋放出方針について「党の考えを中心に主張していく」(亀岡義尚県連幹事長)と中央の動きを見据えながら対応する考え。1、3、4、5区で現職と新人計4人の公認を内定、2区についても擁立準備を進める。ただ2、5区では共産党も新人候補の擁立を発表しており、野党共闘の実現が焦点だ。

 2区については党本部から人選の打診があるものの「解散のタイミングを見極めながら、ぎりぎりまで県レベルでの擁立を目指す」(亀岡幹事長)。5区も自党候補を維持する方向だ。

 一方、共産党県委員会の町田和史委員長は、3選挙区で擁立を見送っただけに「2、5区は共産の候補者が一番勝てると思ってもらえるよう、勢いを示したい」と全選挙区での共闘実現へ躍起だ。海洋放出を巡っても「開始まで2年ある。市民と野党の共闘で野党連合政権をつくれば、ストップをかけられる」と共闘の効果を訴える。

 社民、国民民主両党は、県内小選挙区で候補者を擁立せず、野党共闘に参画する見通しだ。社民党は既に1、5区で立憲民主の立候補予定者と政策協定を締結。県連の狩野光昭代表は「海洋放出に反対する姿勢を市民に訴え、理解を求めていく」と話す。今月に入り県連組織を設立した国民民主党は、元県議の渡部勝博代表が比例東北で立候補を予定しており、党勢拡大を図る方針だ。