福島県、11人立候補予定 衆院選小選挙区、海洋放出など争点か

 

 秋までにある衆院選、県内5小選挙区では、現職8人、新人3人の計11人が立候補を予定する。1、3、4区は現職同士の一騎打ちの様相で、2、5区は自民現職に野党新人が挑む構図。本年度からの「第2期復興・創生期間」における本県の復興加速に向けた施策や、東京電力福島第1原発で発生する処理水を巡る政府の海洋放出方針などが争点になりそうだ。

 1区は立民金子恵美と自民亀岡偉民が3度目の激突。野党共闘で金子が勝利した前回に続く激戦か。

 2区は自民根本匠と共産の新人平善彦が立候補を予定。立民も候補者擁立へ人選を急ぐ。

 3区は10選を狙う立民玄葉光一郎を、前回比例東北で復活し初当選した自民上杉謙太郎が追う。

 4区は自民菅家一郎と立民小熊慎司が出馬予定。過去3度しのぎを削っており、今回も接戦模様だ。

 5区は自民吉野正芳に、立民鳥居作弥、共産熊谷智の両新人が挑む。野党の一本化の実現が焦点だ。

 自民・コロナ政策訴え、立民・対決姿勢鮮明へ

 16日の通常国会閉会を受け、県内各党も衆院選への準備を加速させる方針だ。

 自民党県連の根本匠会長(衆院福島2区)は新型コロナウイルスへの対応を最優先に挙げ「ワクチン接種の迅速化を進めていく。飲食店などが厳しい経営環境に置かれており、事業継続や雇用維持、コロナ禍後を見据えた事業再構築など新たな展開をしっかりと支援したい」と述べ、政策をアピールする考えを示した。

 立憲民主党県連の金子恵美代表(衆院福島1区)は政府のコロナ対策が後手に回ったと批判し「PCR検査体制の構築に集中すべきだと指摘してきたが、政府は経済を回す順番を誤り、感染拡大を長引かせてしまった。党の政策を明確に訴え、国民に選択してもらえるよう努力を重ねていく」と対決姿勢を鮮明にする。

 今国会の会期中に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年が過ぎたが、衆参両院の震災復興特別委員会で質疑が行われたのは1回ずつだった。しかも、政府が第1原発の処理水の海洋放出方針を正式決定する前だったため、復興を巡る議論は深まりを欠いた。衆院選では与野党が本県復興の展望を明示できるかどうかが問われる。