富岡町長に山本育男氏初当選 新人対決、210票差で藤沢氏破る

 
初当選し、妻智子さん(右)と万歳する山本氏(中央)

 任期満了に伴う富岡町長選は25日、投票が行われ、即日開票の結果、ともに無所属の新人で、元町議山本育男氏(62)が2796票を獲得し、元会社員藤沢道徳氏(54)を210票差で破り、初当選した。任期は8月6日から4年。

 2017(平成29)年4月に居住制限、避難指示解除準備両区域の避難指示が解除されてから2度目の町長選で、帰還困難区域の再生や若い世代の帰還と移住の促進などが争点となった。山本氏は帰還困難区域全域の除染や子育て支援の充実などを訴え、支持を集めた。

 投票率は51.51%で、前回の52.02%を0.51ポイント下回り過去最低となった。当日有権者数は1万586人(男性5480人、女性5106人)。当選証書付与式は26日、町役場で行われる。

 強力な組織体制築く

 【戦いの跡】現職の引退表明に伴う新人同士の一騎打ちとなった富岡町長選は、「即戦力」を強調した元町議山本育男氏が競り勝った。
 町民の8割強が今も県内外で避難生活を送る中で行われた選挙戦。町民が入居していた仮設住宅は既になく、居場所が分からない多くの有権者にどう訴えを届けるかが課題だった。

 2度目の町長選に臨んだ山本氏は5月に出馬を表明。現職の後援会の支援も得て「前回よりも強力」(選対幹部)な組織体制を築いた。町民が避難するいわき、郡山両市を巡り在宅医療の実現や子育て支援の充実などを訴え支持を拡大した。

 藤沢氏は3月に出馬を表明。「若さと行動力」を強調し改革を訴えたが、仕事で古里を離れていた期間が長く知名度不足が響いた。

 山本氏は現町政の一定の路線継承を掲げるが、大胆で斬新な施策を求める町民も多い。停滞する住民帰還の動きなど閉塞(へいそく)感を打ち破れるか、手腕が問われる。(辺見祐介)

◇富岡町長選開票結果(選管最終、敬称略)
当2,796 山本 育男 62 無新
 2,586 藤沢 道徳 54 無新