宮本富岡町長が退任 復興のかじ取り役、2期8年の労ねぎらう

 
花束を受け町役場を後にする宮本氏(左)

 富岡町の宮本皓一町長(74)は5日、任期満了に伴い退任した。町役場で退任式が行われ、職員らが2期8年にわたり復興のかじ取り役を担った宮本町長の労をねぎらった。

 宮本町長は「復興と再生に取り組む職員の努力があって現在の富岡町がある。これからも復興の進捗(しんちょく)を見守っていきたい」とあいさつした。花束を受け、職員約150人に見送られながら町役場を後にした。

 宮本町長の退任に伴い、滝沢一美副町長(67)が同日付で退職した。

 帰還の環境整備に力注ぐ

 5日で退任した宮本皓一町長に2期8年の町政運営に懸けた思いなどを聞いた。

 ―印象に残る施策は。
 「2017(平成29)年4月の町内一部地域の避難指示解除を前に、住民が帰還できる環境の整備に力を注いだ。特に商業施設を巡っては、採算性を懸念するスーパーとの調整に時間がかかったが、開店にこぎ着けることができた。今では毎月8万人を超える利用があり安心している」

 ―積み残した課題は。
 「特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた帰還困難区域について、避難指示解除に向けた見通しを立てることができなかった。現在の町内居住者も約1700人で、(24年度の町内居住人口を)5千人とした目標までは遠い道のりだ」

 ―次の町長に託したい思いは。
 「人が戻ってきてこそ復興したと言える。23年春に避難指示が解除される夜の森地区を含む復興拠点に光を当て、町内の均衡ある発展に尽くしてほしい」

 ―今後は町の復興にどう関わっていくのか。
 「町内を見渡すと農業の再開が遅れている。私自身もブルーベリーやイチジクなどを栽培している。まずは一人でも多くの仲間に営農を再開してもらえるよう努力したい」