福島3区「分割案」 衆院小選挙区の区割り、4区に一部統合か

 

 衆院小選挙区定数「10増10減」に向けて新たな区割り案を検討する衆院選挙区画定審議会(区割り審)は、定数が5から4に減る本県について、福島3区を分割する方向で検討に入った。福島、会津若松、郡山、いわきの四つの代表的な市を中心に再編するとみられる。複数の総務省筋が11日、明らかにした。

 本県では、会津若松市を含む4区と分割される3区の一部を統合する案が有力。現在、相双地域は1区と5区に分かれており、それを解消した上で5区の残りと合わせる案も出ている。

 県は区割り審に対し、県内は「浜通り」「中通り」「会津地方」に分かれており、伝統文化や経済圏が異なるとの意見を伝えた。内堀雅雄知事は区割り審への意見書で、東京電力福島第1原発事故の影響で多くの県民が県内外で避難生活を続けていることなど、本県の特殊事情を挙げ「数合わせ」のための市や郡の分割は避けることなどを求めた。県議会も地域特性や震災の影響を最大限に考慮することを求める意見書を可決している。

 16日にも首相に勧告

 区割り審は16日にも、新たな区割り案を岸田文雄首相に勧告する方向で検討している。改定対象となる都道府県の数は、過去最多の25程度に上る見込み。福島や長崎など10増10減の15都県もそれに含まれる。

 有権者に戸惑い

 衆院選挙区画定審議会(区割り審)が福島3区を分割する方向で検討に入ったことが分かった11日、地元の有権者からは「地域が線引きされることに違和感がある」「国政に地域の声が届きにくくなるのではないか」と戸惑いの声が上がった。ただ、現時点でどの市町村が3区から離れるのか、具体的な枠組みは分かっておらず、有権者は区割り審の議論の行方を注意深く見守っている。

 「福島3区の市町村と国とのつながりが薄くなってしまうのが心配だ」。矢祭町の会社役員押田洋平さん(44)はこう不安を口にした。国政選挙で投票率の低下に歯止めがかかっていない現状にも触れ「分割によって『自分には関係ない』と考える県民が増え、さらに投票率が下がってしまうのではないか」と懸念した。

 石川町の会社役員岡部弘幸さん(39)は「3区は広いが、地域性が似ていて一帯の地域というイメージ。そこに境界線を引かれることには違和感がある」と率直な思いを語った。

 「1票の格差」を是正するため、岡部さんは定数増減の検討については一定の理解を示す一方、県内選挙区の現行定数5に関しては「県土の広さから考えると地域の声を反映させるためには多いとは思わない」と語る。

 前回2017年の改定では、当時福島3区だった西郷村のみが4区に編入された。今回も分割される3区の一部と4区を統合する案が出ている。西郷村に隣接する白河市の60代男性は前回改定に不自然さを感じていたといい「3区には大きな都市がないので、分割の検討対象になったのかもしれない」とみる。「議論を尽くし、不自然さが残らないよう有権者が納得のいく方針を決めてほしい」と議論の行方を見守る考えだ。

 「区割りが変わるとして地元がどの地域・都市と同じ選挙区になるのかが気になる」。須賀川市の会社役員車田真一郎さん(42)は新たな枠組みに関心を寄せる。「郡山市などの大都市と選挙区が一緒になった場合、須賀川の声を国に届けづらくなるのではないか」と表情を曇らせた。

 有権者からは、支持する議員の選挙区が変更される「国替え」の影響を心配する意見もあった。田村市の農業白岩洋さん(38)は「これまでは政党にかかわらず、地元ならではの候補者を応援してきた」と語り「区割りが変わっても広域的な視野を持って政治に取り組んでもらえれば、都市部と比べて地方が取り残されることはないと思う」と指摘した。