あぶくま洞でウイスキー熟成、全国初の試み 味変楽しみ...県南酒販

 
あぶくま洞で始まったウイスキーの長期熟成=田村市滝根町

 福島県南酒販(郡山市)は田村市のあぶくま洞でウイスキーの熟成を開始した。同社によると、鍾乳洞内でのウイスキー造りは全国初とみられる。担当者は「どんな味に変化するのか楽しみ」と鍾乳洞が育てるウイスキーに期待を寄せている。

 ウイスキー造りには、味わいに深みをもたらすためにたるの中でウイスキーを寝かせる「熟成」の工程がある。同社は年間を通して気温が15度前後、湿度90%という鍾乳洞内の環境に着目。洞内で長時間じっくりと寝かせることで特別な味わいが生まれるのではと新しい試みに挑戦した。

 長期熟成の原酒をブレンドした後、11月に、たるに貯蔵した原酒(ブレンデッドウイスキー)を洞内に搬入した。同社ウイスキー事業部の志賀桃佳さんは「熟成が早く、色合いも変化している」と説明。熟成には通常3年以上かかるが、経過を見ながら販売時期を検討するという。

 あぶくま洞では洞内で熟成したワインや日本酒を販売しているが、ウイスキーは初めて。あぶくま洞を管理する滝根観光振興公社の伊藤敏男事務局長は「新しいあぶくま洞の目玉商品として売り出したい」と出来上がりを心待ちにしている。