「歯磨きロボット研究段階」 超小型普及には時間

 

 歯磨きはお口の健康には欠かせない習慣です。歯磨きをしないでいると、歯の表面にはバイオフィルムと呼ばれる汚れが堆積し、むし歯や歯周病の原因となります。バイオフィルムは粘着質で水に溶けにくく、うがいだけでは除去できません。薬剤に対しても器質的な耐性があり飲み薬を使っても除去は不可能です。それゆえ、現在は歯ブラシで除去する方法が一般的です。

 しかし、近年の研究により新たなバイオフィルムの除去法が確立されるかもしれません。米国ペンシルベニア大の研究チームによりバイオフィルムを除去できるマイクロロボットが開発されました。

 2019年の「Science Robotics」誌によると研究チームは2種類のロボットシステムを設計し、二つとも効果的にバイオフィルムを破壊し残骸を除去できたと報告されています。バイオフィルム除去の機序が異なるため、一つは歯の表面のバイオフィルム、もう一つは歯の内側の根管壁に作用でき、歯周病やむし歯の予防のみならず、根管治療にも応用ができそうです。

 このマイクロロボットが臨床応用されるようになれば、歯磨きが自動化されることとなり、まさに未来の生活に一歩進んだといって良いかと思います。しかしながら、まだ研究段階であり、一般的に普及するには相当な時間が必要でしょう。(県歯科医師会)