Jヴィレッジ、交流の拠点に 20日で全面再開5年「もっと魅力を」
国内有数のサッカー施設Jヴィレッジ(楢葉町、広野町)は20日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経た2019年4月の全面再開から5年となる。浜通りの復興の象徴となった「サッカーの聖地」は、多分野の利活用が進み、双葉郡の復興・再生の拠点となっている。
「双葉郡や浜通りの交流人口の拡大、風評払拭に向け、(人や団体をつなぐ)ハブの役割を担いたい」。運営会社のJヴィレッジで取締役を務める溝口文博さん(54)は意気込む。再開以降、サッカーを中心としたスポーツ利用に加え、震災復興を学ぶための教育旅行や企業研修、イベントや展示会などの利用が増加している。
コロナ禍で2020年度は約2万7千人の宿泊キャンセルが出るなど苦境に陥った。昨年の5類移行後はほぼ通常となり、ようやく"本領発揮"となった。「合宿などの施設利用が基本なので、事前の日程調整が重要。空きがないよう留意し、繁忙期の取りこぼしがないようにしている」と工夫を明かす。平日の稼働率を高めることが課題で、企業研修など平日利用の営業にも力を入れる。
溝口さんは長崎県出身。名門・国見高サッカー部でプレーし、法政大を経て東京電力に入社した。その後Jヴィレッジに出向し、07年から震災まで東電女子サッカー部「マリーゼ」の部長を務めた。16年にJヴィレッジに再び戻り、営業部長を経て取締役となった。
長年本県に関わる中、Jヴィレッジが原発事故対応の拠点に一変した光景を心に刻む。「Jヴィレッジの存在意義は地域振興の拠点になること。そのために、もっと魅力ある施設にすることが私の使命だ」と力を込める。
今夏からインターハイ男子サッカー競技の本県固定開催が始まり、Jヴィレッジなどで試合が行われる。「インターハイなどの好材料を生かし、にぎわいを浜通りに波及させたい。地域に希望と笑顔があふれるように頑張る」。サッカーの聖地で溝口さんの挑戦は続く。(国分利也)
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