高齢者の運賃補助見直しへ 福島市、上限年間2万円に

 

 福島市は2月29日、75歳以上の市民を対象にバスや福島交通飯坂線の無料乗車証を交付している制度の見直し案を示した。新制度では補助の上限額を年間2万円に設定し、タクシー利用も補助の対象に加える。市は新年度一般会計当初予算案に関連経費を計上しており、開会中の3月議会で可決された後、新制度移行への準備を始める。

 タクシーの利用も対象

 福島市役所で開かれた超高齢化社会における地域公共交通を考える会の会議で示した。これまでは何度も無料でバスに乗車できたが、利用者によって年間利用額に偏りがあるため、より利便性や公平性ある制度への見直しを進めてきた。

 新制度では「バスや飯坂線で2万円」か「バスや飯坂線の利用とタクシーの利用を1万円ずつ」のいずれかを選択することができる。タクシーを希望する場合はマイナンバーカードへの登録が必要になる。

 会議では委員らがデモ端末でマイナンバーカードを使ったタクシー利用を体験したほか、利用や周知の方法について意見を交わした。市担当者は「多くの高齢者が街に出て社会参加ができるように、分かりやすく簡単な制度としたい」と話した。

 無料乗車証の交付は高齢者の社会参加と公共交通の利用促進を目的に2010年度から始まった。22年度は対象者4万4千人のうち、1万4千人の利用にとどまった一方で、455人は年間利用額が10万円を超えた。このうち1人は1940回乗車し、運賃が67万4350円だった。