使用済み燃料、共用プール空き確保へ 乾式キャスク施設増設検討

 

 東京電力福島第1原発の使用済み核燃料プールにある燃料を巡り、政府は廃炉工程表「中長期ロードマップ」で1~6号機の核燃料を2031年内に取り出しを完了する目標を掲げる。取り出した核燃料は、敷地内の「共用プール」に収容するが、すでに容量が限界を迎えている。このため、今月からは共用プールの空きを確保するための取り組みがスタートする。

 東電の「廃炉中長期実行プラン2021」によると、今後最も早く取り出しを開始するのは6号機からとなっている。6号機には1884体の燃料集合体があり、このうち1456体が使用済み核燃料で、428体が未使用の燃料だ。未使用の燃料はメーカーの工場に運ぶため、共用プールの容量を1456体分空けておく必要が出てくる。

 東電の計画では、共用プールにある核燃料を「乾式キャスク」と呼ばれる空冷式の専用容器に詰め替え、同じく原発敷地内にある乾式キャスク仮保管設備という施設に運び込む。東電は安全性を確保しながら、6号機から入るのと同量分を運び出したい考えだ。

 ただ乾式キャスク仮保管設備の容量にも限界があり、6号機の後には5号機(1542体)からの運び出しも控えている。このため東電は、乾式キャスクを保管する施設の増設を検討している。2号機(615体)と1号機(392体)については今後、取り出し装置を設置するための準備などを進めていく計画だ。