「世界に福島伝える」県内12校合同で高校生新聞発行へ

 
新聞に掲載する写真を選ぶ生徒ら

 県内の12高校の新聞委員会や出版局などは合同で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の歩みや本県の魅力を伝える新聞を発行する。「ふくしまをつたえる新聞」と題し、東京五輪・パラリンピックに合わせて首都圏などで配り、国内外に福島の今を発信する。生徒らは1日、郡山市で編集会議を開き、紙面構成について意見を出し合った。

 紙面は4面構成で、1面には震災当時、高校新聞部に所属していた生徒が町や学校の被害の様子を捉えた写真などを掲載する。2、3面は、地域ごとの代表的な風景の写真や名産品などの魅力を紹介。4面は岩瀬農高による農業の生産工程管理に関する「GAP」取得の取り組みなど、福島の未来を切り開くような高校生の活動を取り上げる。

 新聞は日本語版3万部、英語版2万5000部を発行。東京五輪・パラリンピックの国際メディアブースや、県内で行われる在日大使との交流イベント、全国高校総合文化祭などで、高校生らが配布する予定だ。

 同事業は県高校文化連盟と同連盟新聞専門部の主催。2019年に企画され、東京五輪に向けて生徒らが紙面作りを進めていたが、大会延期に伴い、いったん中止された。

 今年は内容を一部変更、7月上旬の完成を目指している。

 会議には生徒ら約80人が参加。それぞれ記事を持ち寄り、紙面構成を話し合ったり、写真を選んだりした。相馬高出版部の女子生徒(2年)は「新聞を通して福島は安全だということを伝えたい」と話した。吉田義仁県高文連新聞専門部委員長は「高校生の視点で福島の現状を把握し、全国、世界に発信することに意味がある」と意気込んだ。