【古関裕而生誕110年】音楽家・大友良英さんに聞く わらじ音頭は不変
「ここは福島見せたいものは(中略)羽黒神社のソレ大わらじ(中略)わらじ音頭でコラショノショ(音符マーク)」―。福島市の夏を彩る福島わらじまつりを盛り上げてきた「わらじ音頭」は、第1回開催に合わせて同市出身の古関裕而が作曲した。
祭りは今年、50回目の節目を機に刷新された。主導したのは同市ゆかりの音楽家大友良英さん(60)だ。今月3日、新生・福島わらじまつりとして披露された。以前にはなかった踊りや衣装、小道具などが加わり、様相はがらりと変わった。だが、祭りに流れる「わらじ音頭」だけは一緒だ。
「正直言うと、当初は使いづらいと思った」と大友さん。わらじ音頭を使ってほしいという要請はあったが「(祭りを)より伝統的」に刷新する方針だったため、歌謡曲に近いわらじ音頭はそぐわないと考えた。しかし、福島の昔の盆踊りを調べると、次第にわらじ音頭との関連に気付いた。
「古関さんは盆踊りの記憶を基に曲をつくったのではないか」。そう考えた時、わらじ音頭の魅力を感じることができたという。大友さんは、わらじ音頭を跳ねるような歌い方に編曲し、使い続けることにした。「今では本当に良い曲だと思う」と反省気味に話し、古関メロディーをたたえた。大友さんは「誰でも参加できるまつりにつくり変えた。これを10年、100年と続けてほしい。その種を植えたので、みんなで芽吹かせてほしい」と呼び掛けた。
第1回が開催された1970(昭和45)年。市内で開かれた「わらじ音頭」発表会に古関の姿があった。ちょうど信夫山麓を流れる祓川に架けられていた古関家寄進の「祓川橋」の移築復元が進められていた。古関は橋を引き合いに「先祖は橋を残したが、私のつくったわらじ音頭も市民で育ててほしい」と語っている。古関の願いは今に受け継がれている。
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福島関連の古関メロディー 1929(昭和4)年に作曲した「福島夜曲(セレナーデ)」「福島行進曲」「阿武隈に立ちて」をはじめ、「福島ブルース」(48年)、「福島小唄」(52年)、「わらじ音頭」(70年)などがある。校歌や社歌も数多く残されている。
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