全国ワースト4位...福島県のメタボ率、下位「定着」

 

 特定健診でメタボリック症候群に該当した県民の割合(メタボ率)は2021年度に19.2%となり、都道府県別では前年度と変わらず、全国ワースト4位と依然として低迷していることが厚生労働省の調査で分かった。メタボの診断基準に迫る「予備群」を合わせた割合も全国ワースト3位のままで、県民の健康指標の改善は急務だ。危機感を抱く県は、本年度を「メタボ対策元年」と位置付け、働き盛り世代を中心としたモデル事業を導入するなど、県民の生活習慣改善に向けた対策を強化している。

メタボリック症候群の該当者割合

 本県のメタボ率(19.2%)は前年度より0.1ポイント改善したが、全国平均は0.2ポイント改善の16.6%で、格差は拡大した。ワースト1位は沖縄県で20.6%、次いで宮城、秋田両県の19.7%だった。

 県内の特定健診受診者のうち、予備群の割合は12.7%と前年度より0.3ポイント改善したものの、順位は前年と変わらず、全国ワースト14位だった。メタボ率と予備群との合計は31.9%に達した。

 本県のメタボ率は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後に悪化が進み、12年度に全国ワースト4位の16.3%に悪化すると、その後は大きく改善は進まず、全国的にも下位が「定位置」となっている。県は「健康長寿県」の実現を目指し、メタボ率など健康指標改善の取り組みを継続してきたが、数値上で明確な手応えはないのが現状だ。

 このため県は本年度、これまで独立して実施してきた食や運動などの健康づくり施策を見直し、指標改善へ重点的な取り組みに着手した。企業向けのモデル事業では、塩分を抑えたり、野菜を多く使ったりした社食の提供や、講師派遣などによる従業員の運動不足解消の取り組みを推進。県内のスーパーと協力し、カロリーを抑えた総菜や弁当の販売などにも乗り出した。

 県は各種対策と併せ、次期「健康ふくしま21計画」(24~35年度)の策定を進めており、基本目標の項目に健康寿命の延伸などとともに、メタボ率の地域格差縮小を盛り込む方針だ。県はメタボ率について「やや改善したが、全国より悪い傾向は続いている。危機感を持ち、改善に向けた取り組みを進めたい」(健康づくり推進課)としている。