健康管理「わがこと」で ふくしま会議、中小企業経営者ら参加

 
健康経営に取り組む大切さを語る(右から)内堀知事、小野寺真澄氏、山本幸靖氏、古井祐司氏

 県内の市町村長や中小企業経営者らが参加した健康長寿ふくしま会議は21日、福島市で開かれた。本県はメタボリック症候群の割合が低迷するなど健康指標改善が急務となっており、内堀雅雄知事は「企業や自治体がわがこととして(職員らの健康管理を経営的視点で考えて戦略的に行う)健康経営に取り組む必要がある」と述べ、健康づくりの一層の推進を呼びかけた。

 県内は、定期健診でメタボリック症候群とされた県民の割合が19.2%(2021年度)と全国平均16.6%を大きく下回る状況が続く。このほかにも急性心筋梗塞による死亡率や喫煙率が全国の都道府県で最も高いなど「健康長寿」の実現に向けた大きな課題となっている。

 会議の冒頭、関係者を前にあいさつした内堀知事は「集まった皆さんがそれぞれの立場から広く呼びかけ、県民の皆さんと健康づくりに取り組んでいただくことが健康長寿ふくしま実現につながる」と力を込めた。

 「健康経営」地域ぐるみ 企業価値向上、雇用促進の鍵に

 福島市で21日行われた「健康長寿ふくしま会議」のパネル討論には、内堀雅雄知事ら4人が登壇した。4人は自治体や企業が「健康経営」を意識して健康づくりを推進することで、地域や企業価値の向上につながる点などについて意見を交わした。

 内堀知事は、健康づくりについて「初めの一歩は簡単なことばかりだが、やることに意味がある。初めの一歩を職場や友人に勧めることを全県でやると前進につながる」と述べた。健康診断の受診や、食事の際に野菜を先に食べる「ベジファースト」など身近なところから健康づくりを意識して、健康指標の改善につなげる大切さを語った。

 東大未来ビジョン研究センターの古井祐司特任教授は、健康経営の利点を「健康経営企業の存在が地域で他の会社を先導したり、雇用の促進、社会の課題解決につながったりする」と説明。「社会資源が協力し合って県民の健康づくりを進めていくことが求められている」と今後の課題を挙げた。

 健康経営に取り組んでいる県外の自治体と企業から2人の代表者が登壇した。地域資源を生かして住民の健康づくりに取り組む山形県上山市の山本幸靖市長は「運動を習慣化することで市民の医療費の削減にもつながっている。市民が主体的に動けるような施策を進めることが必要だ」とした。

 産業廃棄物処理業のニッコー・ファインメック(岩手県)の小野寺真澄社長は「体の健康だけではなくプライベートも充実したいというニーズがある。体と心の健康、仕事と家庭の両立、職場の心理的安全性をテーマに健康経営の実践チームをつくり、取り組んでいる」と従業員が働きやすい環境づくりを進めることの大切さも口にした。討論には県内の市町村長や中小企業の経営者ら約200人が訪れた。