「粘液嚢胞」 唾液の水疱、手術で摘出

 

 唾液は主に耳下(じか)腺や顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺など大きな唾液腺で作られ、口を潤したり咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)、消化を助けたりしています。実は唾液腺は大きなものだけでなく、米粒ほどの小さなものが口の粘膜に無数にあります。皮膚に汗腺があるように小さな唾液腺が粘膜を潤していると考えるとイメージしやすいでしょう。

 粘液嚢胞(のうほう)はこの小さな唾液腺の出口が詰まる病気で、出口を失った唾液が水疱(すいほう)となり嚢胞(袋の病気)を作ります。唾液にはサラサラした漿液(しょうえき)とネバネバした粘液があり、小さな唾液腺の多くは粘液成分が優勢なため「粘液」嚢胞と呼ばれています。

 誘因の一つに歯の刺激があり、傷ついた粘膜が治るときに出口をふさぐと考えられています。そのため歯で傷をつけやすい下唇によくみられます。水疱が破れると一時的に小さくなりますが、破れた傷が癒えるとまた膨らんでしまいます。原因となる小さな唾液腺が機能しているうちは再発を繰り返します。

 治療は原因の小唾液腺と水疱を取り除く「粘液嚢胞摘出術」が基本とされています。多くは部分麻酔による15分ほどの手術で、傷もあまり目立ちません。背景にほかの病気が潜んでいないか調べるため、取った組織を顕微鏡で検査することもあります。再発する口の水疱にお悩みでしたらかかりつけ歯科医へご相談ください。

 (県歯科医師会)