「成長期は鼻呼吸で」 口呼吸、歯並びに悪影響

 

 学童期の咬合(こうごう)異常の原因の一つが「口呼吸」にあります。矯正歯科治療は、乳歯列期、乳歯と永久歯が混合する混合歯列期、および永久歯列期に行うI期治療と、それ以降に行う2期治療に大きく分けることができます。I期治療を行う時期は、顎の成長発育が旺盛な段階なので、発育を妨げる要素を取り除くことは非常に重要であると考えられています。

 鼻づまりなどで口呼吸が習慣化すると、口呼吸をより容易にできるよう口腔(こうくう)内に変化が生じます。まず、口腔内に空気が流れやすいように舌の位置が変化します。通常、安静時では舌の表面が上顎に接しているのですが、この状態では空気の流れが悪いので舌と上顎の間に隙間が空くように舌の位置を変えるのです。

 その結果、歯列に対して舌の圧力がかからなくなり、頬からの圧力のみが作用するようになり前後方向に狭まった歯並びとなってしまいます。そのため、前歯が突出したり歯が重なり合ったり、下顎が後退することもあります。さらに口呼吸によって乾燥した空気が口腔内に入ってくるため、歯肉炎やむし歯を発症します。

 このような変化が成長期の口腔内および顎骨に生じ、咬合異常を増悪させるのです。咬合異常を予防するためには、口呼吸の習慣を改善し、鼻呼吸を意識するよう心がけることがとても重要です。治療について詳しく聞きたい方は、症状などにより異なりますので、かかりつけ歯科医にお尋ねください。(県歯科医師会)