「生えきらない親知らず」 高齢者は感染症注意

 

 埋伏智歯(まいふくちし)とは、生えていなかったり、生えきっていない親知らずのことをいいます。中途半端に生えていると、食べかすなどがたまって感染症を起こしやすくなり、歯を抜かなければならないこともあります。

 生えきっていない親知らずについては、存在に気づかない方も多くいます。症状が全く出ていない場合は感染のリスクが少ないため、放置してもあまり問題がないといわれていました。

 しかし、高齢化が進んだ昨今、高齢者の親知らずの感染が増えており、リスクの考え方も変わってきました。高齢で免疫力が低下した状況で感染してしまうと、難治性になり、重症化するケースもあります。長期間が経過し慢性化すると、知らないうちに広範にわたる骨髄炎に陥っていることもあります。

 骨髄炎になると、入院治療が必要になり、抜こうと思っても、全身状態に問題があれば、全身管理下での抜歯が必要となります。場合によっては、抜くこともできず、慢性炎症に苦しむことにもなりかねません。

 高齢になると歯と骨が癒着(こびりついている状態)していることも多く、抜歯の難易度が高くなってしまう場合もしばしばです。

 親知らずがあることが分かった場合には、症状がなくても放置せず、一度、お近くの歯科医院に相談してみましょう。

 (県歯科医師会)