「フッ化物でむし歯予防」 高濃度は数カ月おきに

 

 口の中に起こりうる問題としてむし歯は代表的ですが、近年むし歯の罹患(りかん)率は急激に減少しています。フッ化物の応用が一般化してきたことも要因として挙げられるでしょう。

 現在ではほとんどの歯磨き粉にフッ化物が配合されています。また、フッ化物洗口を実施する学校も近年増加しています。フッ化物を応用したむし歯予防は既に一般的に認知されていると考えていいでしょう。このようなセルフケアに関するフッ化物の濃度は全て低濃度となっています。

 一方、歯科医院で扱うフッ化物は高濃度です。この濃度の違いで効果が異なります。低濃度のフッ化物は主に歯の再石灰化を促進する作用があります。これは歯の表面にフッ素イオンが取り込まれ、組成が変わることで歯質が強化されます。

 高濃度のフッ化物を歯面に塗布すると、フッ化カルシウムが生成されます。口腔(こうくう)内が歯が脱灰する酸性の状態になるとフッ化カルシウムが唾液中に溶解し、カルシウムイオンやフッ素イオンを供給してくれます。

 低濃度のフッ化物が日常で歯質を強化し、高濃度フッ化物がフッ化物をため込んでピンチの際に助けてくれるようなイメージでしょうか。毎日の低濃度フッ化物の使用と数カ月おきの歯科医院での高濃度フッ化物塗布が、むし歯予防に重要な役目を果たします。(県歯科医師会)