いわきFC、清水に完敗 プレーの質や強度...力の差を痛感

 
【清水―いわき】後半40分、8失点目を喫し、苦しい表情を見せるいわきイレブン

 サッカーJ2第14節ー。いわきFCは7日、アウェーのIAIスタジアム日本平(静岡市)で清水エスパルスと対戦し、1―9で敗れ、4連敗となった。通算成績は3勝2分け9敗で、順位は22チーム中最下位に後退した。

 いわきは前半に3失点を許すと、後半も相手の流れを止められずに6点を失い、Jリーグ参入後、最多失点で力負けした。

 いわきは次戦の14日、ホームのいわきグリーンフィールド(いわき市)で、8位のブラウブリッツ秋田との東北ダービーに臨む。午後1時半開始予定。

いわきFCの試合結果

 【評】いわきは攻守に良いところがなく完敗した。前半開始早々に失点し、相手にペースを握られた。守備が後手となり、中央で相手選手をフリーにし、前半でさらに2失点した。後半開始早々にもCKから失点すると、防戦一方となり6失点。攻撃では、サイドを封じられ前線にボールをつなげられず、試合終了間際に吉沢のゴールで1点を返すのがやっとだった。(佐藤智哉)

 組織的プレー改善急務

 試合終了直後、肩を落としてピッチを去るいわきの選手たちに、冷たい雨が降り注いでいた。昨季J1を戦った清水に完全な力負けを喫した。主将のMF山下優人は「完敗。一つ一つのプレーの質や強度など、全部に力のなさが出た」と、か細い声で敗戦を受け止めた。

 球際の激しさ、ボールを奪ってから攻撃に変わった時の速さ、決定力の高さ―。いわきはそうしたプレーの質の全てで、清水に上回られた。サイド攻撃は読まれているかのように機能せず、前線では相手に簡単にボールを奪われた。攻撃が中途半端に終わると、今度は守備の対応が遅れ、中央でフリーの選手をつくって、あっさり失点。そんな場面が何度も繰り返された。

 個の力が高く、経験も豊富な清水に対して、組織的に対応できなかったことが敗因だ。「寄せるか寄せないか、組織としてプレーの判断ができていない。個の力がない中でバラバラで対応し、穴をつくってしまった」と山下。前節まで全試合出場していたセンターバックの遠藤凌を欠く中ではあったが、攻守にわたる連係のちぐはぐさを最後まで改善できなかった。

 清水を含め、長崎、甲府とJ1経験のあるチームとの3連戦を終え、山下は「本当にレベルが高いと感じた。自分たちもそのレベルにいかないと、勝つのは厳しい」と危機感をにじませる。リーグ戦の3分の1を消化した中、敗戦や経験を次にどう生かすか。全チーム中最下位に落ちた今、チームの底力が試されている。(佐藤智哉)

 吉沢1点もぎ取った

 相手のゴールラッシュに一矢報いるゴールだった。左すねの骨折と足首の靱帯(じんたい)損傷で昨年10月から離脱していたFW吉沢柊が久々にピッチに立ち、1点をもぎ取った。吉沢は「点差があっても絶対に諦めない姿勢を見せたかった。チームの力になりたい」と復活をアピールした。

 失点が続き、苦しい表情を見せる仲間の姿をベンチで見ていた。後半35分から途中出場。後半ロスタイムにMF芳賀日陽(あさひ)の鋭い左クロスを頭で合わせて反撃の1点を挙げた。

 「力の差を感じたが、これからも粘り強くいわきのサッカーをしていく。プレーや言動でチームを引っ張っていきたい」とチームを鼓舞した。